日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.142

1.PXを改善につなげるには?
2.CLEのPXサミットが5月開催
3. 今後の予定

1.PXを改善につなげるには?


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では活動の1つとして、PX(Patient eXperience;患者経験価値)サーベイ(調査)を開発・実施していますが、結果をどう改善につなげるかが課題だと捉えています。

2002年からPXサーベイを実施している英国のNHS(National Health Service;国民保健サービス)では患者からのフィードバックを医療にどう反映させているのでしょうか。ヘルスケアのさまざまな課題についてリサーチを行っているNHSの関連組織であるNIHR(National Institute for Health Research;国立衛生研究所)の調査レポートを紹介します。

 

PXに関するデータは目的により、収集情報の種類や分析、使用が決まります。一部の医療スタッフや政策立案者にとってPXデータは、サービスの実績を評価するのに役立ちます。そのほかの人にとっては個々の患者の経験を理解、尊重することであり、別の人にはサービスを改善するためのものということです。

一方、患者や一般の人からすれば、お互いの経験を分かち合うことが挙げられます。情報やサポート方法などを共有し、他者の健康についての経験を聞くことは、聞き手の健康によい影響を与える可能性があります。一部の患者は、フィードバックを受けることはサービスに対する公的な説明責任だとみなしているという報告もあります。

 

フィードバックにおいては、患者と医療スタッフそれぞれの目的が一致しない場合があり、医療スタッフは患者からのフィードバックを苦情と捉え、無意識のうちに無視してしまいます。また、医療スタッフの多くは信頼できるフィードバックが必要だと強く思っていても、データの活用方法を知っているわけではありません。NHSはフィードバックの収集に多大なエネルギーと費用をかけていても、診療の改善に必要な情報を提供するかに注意を払っていないといった指摘があります。

 

 

よいフィードバックを得るために必要なこととして、レポートでは主に次のようなものが挙げられています。

・フィードバックを収集するスタッフの感度の高さ

・大量の自由記述を引き出し、活用するための管理方法(ツール)

・フィードバックに基づいてスタッフが行動や組織を変える力(権限)

・PXデータの分析スキル

・PX向上に取り組むチームと、医療の質を改善するチームとの連携

・調査結果を評価、アクションに変換するためのサポート

・ポジティブ、ネガティブ両方のフィードバックを受けとめる

・スタッフに実用的な調査結果を提供する

・安全性、臨床的有効性データと関連づけてPXデータを示す

 

詳細については下記リンクを参照ください。

Link:https://cdn.ps.emap.com/wp-content/uploads/sites/3/2020/11/201118-Patient-feedback-how-effectively-is-it-collected-and-used.pdf

 

 

2. CLEのPXサミットが5月開催


米国オハイオ州のクリーブランド(CLE)クリニックとHIMSS(The Health Care Information and Management System Society) との共催によるPXサミットが5月12〜13日の2日間、オンラインで開催されます。

 

クリーブランドクリニックでは患者と医療者の関係性を高める、より共感的なケアを行う文化をつくることを使命に、約12年前に初めてのPXサミットを開催しました。以後、毎年のPXサミットでは世界中から医療関係者などが多く集まり、PXについての最新情報を共有してきました。

PXサミットは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、昨年からオンラインでの開催となっています。今回も情報とテクノロジーによりヘルスケア革命をサポートしているHIMSSとの共催。デジタルへの依存が高くなっているなかで、デジタルツールが人と人とのつながりを強くしていることを確認する場であるとしています。

 

テーマは、EMPATHY+INNOVATION(共感とイノベーション)。世界的な感染症の流行では、今まで以上に共感とイノベーションは重要となっています。サミットはデジタルネットワークを活用し、ライブで公共もしくはプライベートのチャットを参加者とできるのと、セッションに再度アクセスできるオンデマンドでの視聴ができるようになっています。

今回のサミットのセグメントとしては、「高い信頼性」「トラウマとその後の治療」「ケアにおけるイノベーション」「何が機能していて、我々は何をもっと必要としているか」の4つが予定されています。

 

登録料は会員125~245ドル、非会員175~295ドル(属性によって異なります)。サミットのタイムスケジュールと申し込みは下記リンクからお願いします。

Link:http://www.empathyandinnovation.com/patient-experience/2021

 

 

3. 今後の予定


2021年も引き続き、PXを学べるオンライン勉強会「PX寺子屋」を開催します。今後5月15日、8月21日、11月13日の開催を予定しています。

 

第4回PX寺子屋

・日時:2021年5月15日(土)13:00-14:00

・テーマ:「PX概論」

※詳細は決まり次第、ホームページ、当メールマガジンに掲載します

 

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※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

 

編集部から


評判を聞いて気になっていた近所のパスタ店を来訪。メニューは、ストイックな店主の手打ちパスタ2種類。味付けはオリーブオイル、ハーブ、スパイス、チーズのみ。写真のTortelloniは沸騰していないお湯で20分ぐらいゆでたのに麺はふわふわのアルデンテでした。(F)