日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.157

1.PX×ブロックチェーン
2.米COVID-19関連情報
3. 今後の予定

1.PX×ブロックチェーン


ブロックチェーンといえば仮想通貨のビットコインで知られていますが、海外では近年、医療分野への応用が注目されています。情報の共有範囲を限定したシステムの構築を可能とし、相互運用性が高く、大量の取引処理に適しているためです。すでに新薬を治験する際のデータの改ざん防止や遺伝子データなどの複雑な、権利が絡む情報の管理などに使われているといいます。

管理コストの削減、効率化、そしてPX(Patient eXperience;患者経験価値)改善のためにブロックチェーンを使ったベンチャー会社がこのほど、米国で設立されました。ブロックチェーンでPXをどう高めるのでしょうか。

 

このベンチャー会社「Avaneer Health」は、 Aetna、Anthem、HCSCの3つの大手医療保険会社とバージニア州とノースカロライナ州北東部の12の病院からなるセンタラヘルスケアとオハイオ州のクリーブランドクリニック、IBMとPNCファイナンシャルサービスが投資して立ち上げました。アメリカの医療システムの非効率性を排除することを目的としています。

業界がタッグを組むことで、CX(Customer eXperience;顧客経験価値)を大幅に改善できるインフラとソリューションを提供。透明性とセキュリティの強化によって医療に関する意思決定のナビゲーションを容易にし、メンバーである顧客に対し、生涯にわたってケアの最適化が図られます。それによって顧客満足度を向上させ、ロイヤルティと患者の定着率を高め、作業プロセスとキャッシュフローを増やします。シームレスなEnd to End(顧客から顧客へ)のエクスペリエンスをサポートし、医療の提供のスピードを上げるといいます。

 

初期段階のプロジェクトとして、請求と支払いの処理、ヘルスケアデータの取り交わし、医療供給者のディレクトリを挙げています。医療供給者のディレクトリは、組織間で医療機関のスタッフとそのライセンスに関する、常に最新データを共有することになります。また、患者が治療を受ける際、費用を支払う保険会社がその治療が適格かどうかを承認する必要がありますが、その手続きを早めることができます。新しい支払いのメカニズムでは、患者がデータやサービスをリアルタイムで取得できるようになります。

CEOにはヘルスケア決済ビジネスに携わっていた、JPモルガンのmanaging directorでヘルスケア分野のsenior executiveであるStuart Hansonさんが任命されています。公式発表およびデモンストレーションは今年8月開催のヘルスケアIT会議、HIMSS(The Health Care Information and Management System Society)のカンファレンスで発表されます。

 

ブロックチェーンは、患者が自分の医療情報を自分で活用するという権利を行使できること、オンライン診療などへの応用も期待されています。海外の動きに今後も注目です。

Avaneer Health

Link:https://www.avaneerhealth.com/

 

 

2. 米COVID-19関連情報


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会が法人会員となっているPX推進団体「The Beryl Institute」(当メールマガジンを読んでくださっている方にはおなじみですね)では、PXと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する情報の取りまとめを行っています。

COVID-19パンデミックでの数々のヒューマンケアの物語を紹介する「We stand together」では、困難な状況下で最善を尽くす医療者、回復した患者とその家族のストーリーが世界中から投稿されています。ニューヨークのメモリアルスローンケタリングがんセンター(MSK)は、COVID-19によってがん治療が中断されないよう、シームレスなケアを行ってきました。スタッフの努力と献身を称えるため、患者&家族諮問委員会のメンバーは感謝の言葉を添えた、何百枚ものカードをつくりました。

心温まる写真が掲載されています!(Berylのホームページ上で公開されている画像をお借りしました)

 

また、ミネソタ州のミネアポリスVAヘルスケアシステムではCOVID-19により入院患者との面会が制限されていたなか、CEO(Chief ExperiencemOfficer)のMartina Malekさんが仮想ビジタープログラムを活用し、入院患者が亡くなる前に家族とバーチャルで面会できた体験が語られています。

そのほか「PXの定義の再検討」「患者、家族、医療者を安心させる」「危機の時代の格差への対処」といったテーマで話し合う「Community Conversation」(過去の話し合いが視聴できます)。各種ウェビナー、ポッドキャスト、ホワイトペーパー(報告書)などのほか、ストレスの対処法などが紹介されています。コロナ禍でのPXを考え、医療現場で実践する際のヒントが見つけられます。時間ができたときにでも、下記リンクをお訪ねください。

 

Link:https://www.theberylinstitute.org/page/COVID-19Resources

 

 

3. 今後の予定


PX研究会では12月4日(土)に「第4回PXフォーラム 変革から成熟へーWithコロナ時代のPXがもたらすものー」をオンラインで開催します。PX研究会会員(法人・個人)は無料。会員外の方は第1・2部で3000円となります。第1部、第2部のみ(各1500円)参加も可能です。フォーラムの詳細と申し込みは下記リンクからお願いします。

https://www.pxj.or.jp/pxforum2021/

 

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7月3日スタートの「第3期PXE養成講座」では受講生を募集しています。講座は月1回土曜日の午後、2.5時間×5回となっています。PXを体系的に学べるチャンス。残り2席です!

https://www.pxj.or.jp/pxe/

 

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第5回寺子屋を8月21日(土)に開催します。日本における“PX推進ホスピタル“、国立病院機構九州医療センターの2020年度の取り組みを報告します!

 

第5回PX寺子屋

・日時:2021年8月21日(土)13:00-14:00

・テーマ:「PX概論」 訪問看護ステーションアクティホーム 事業責任者 講内源太

「九州医療センター2020年度PXサーベイ実践報告」 国立病院機構九州医療センター 小児外科医長 西本祐子

https://www.pxj.or.jp/events/

 

 

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※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

 

編集部から


極力食べないようにしていますが身体に悪い食べ物が好きです笑。一昨日簡単なオペを受けてから液状のものしか食べられず、おいしかったものの写真を眺めています。(F)