日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.162

1.PX関連のブログ
2.「第4回PXフォーラム」開催!
3. 今後の予定

1.PX関連のブログ


米国のPX推進団体「The Beryl Institute」のゲストブログではコロナ禍における患者とのかかわり方、遠隔医療の活用など、PX(Patient eXperience;患者経験価値)に取り組む医療関係者のさまざまな知見を得ることができます。投稿されたブログの一部を紹介します。

 

顧客や従業員、製品、ブランドなどのエクスペリエンスマネジメント(XM)を行うSMG社でカスタマーエンゲージメント・ヘルスケア担当副社長のBrett Brendeさんの投稿では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるカスタマーのヘルスケア行動のトレンドについて述べています。

「COVID-19による健康不安は顧客の行動を全面的に変え、患者は必要不可欠なサービスか否かを再定義するために、ケアを受けることを以前よりためらうようになっています」とBrettさんは指摘。医療提供者が患者の信頼を再度得るためにSMGでは調査を行い、5200人以上からのフィードバックを得たうえで、PXへのプライオリティが高い医療者の3つのトレンドを挙げています。

1.3人に1人は定期健診を求めていない

ほとんどの人は予防的ケアが健康に重要であることを理解している一方、COVID-19の流行により定期健診をスキップするつもりだと37%が回答。その理由として、52%が医療機関を訪れることでCOVID-19に感染することを懸念しています。予防的ケアを継続するため、医療者は日常業務を見直し、新しいプロトコール(医療提供の際の手順や連携体制など)を患者にはっきり伝える必要があります。

2.医療者は安全対策を強化、その取り組みを伝える

患者が医療者のもとに安心して訪れることができるようにするには、次の5つの運用・手順の小さな見直しを行う必要があります。▽待合室にいる患者を制限する、▽入口/出口に手指消毒薬を置く、▽人が触ったところを頻繁に清掃する、▽待ち時間を最小限化する、▽医療者はPPE(個人用防護具)を着用する――加えて、医療者はパンデミックに関するすべての最新情報を患者に提供し続ける責任があります。正確な情報を伝えることにより、医療者は患者の信頼を得ることができます。

3.遠隔医療の使用率は50%未満

安全対策を講じたとしても一部の患者は医療機関の訪問に不安を感じています。このような患者に対し、遠隔医療という選択オプションを提供することはいいことであり、88%が遠隔医療という選択肢を知っていて75%が利用を検討すると回答しています。しかし昨年は46%しか利用されていません。このようなことが起こる問題は、コミュニケーションの欠如にあります。「医療者が遠隔医療サービスに関する十分な情報を提供している」と感じているのは54%だけです。患者が遠隔医療を使用するうえでの障壁と考えている、ケアの質、セキュリティ、不適切な診断を受けるという3つの心配ごとは、患者教育の欠如に関係しています。

 

また、開業医でコミュニケーショントレーニングを提供する会社を設立しているAnthony Orsiniさんは「PX向上のカギを握るコミュニケーションスキル」を論じています。

「PXはヘルスケア分野の顧客の96%が重要、または非常に重要だと認識しており、医療機関の経営や臨床上のアウトカムに影響を及ぼします」とAnthonyさんは話します。そのうえでPXの基盤はコミュニケーションである一方、多くの臨床医がコミュニケーションスキル不足で苦労していると指摘しています。

最近の調査では、患者の71%が医師と話した時に思いやりに欠けた経験をし、73%は医師は常に忙しくしているとしています。また患者の63%はすべての質問に完全に答えてもらえないまま医療機関から帰ってきていて、47%は医師とのやりとりが不十分だったためその病院を再訪せず、39%は医師はコミュニケーターではないと述べています。医療機関はPXへの影響が少ないアメニティばかりに投資していて、患者と家族のニーズを満たせなくなるリスクがあると警鐘しています。

「医療機関がCOVID-19の激震による経済的な影響から回復するにあたり、PXは戦略的な優先事項としてさらに重要になります」とAnthonyさん。患者と臨床医間の絆を築き、ケアの質を高め、臨床上のアウトカムを改善するために不可欠な信頼関係を構築するミッションクリティカルな、思いやりのあるコミュニケーションスキルが必須だと言及しています。

 

ほかのブログは、下記リンクから読むことができます。

Link:https://www.theberylinstitute.org/blogpost/947424/Guest-Blog

 

 

2. 「第4回PXフォーラム」開催!


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では2021年12月4日(土)に、PXの認知度向上を目的とした「第4回PXフォーラム」を開催します。PXフォーラムは年1回のイベントとして、2018年からスタート。第4回となる今年は、「変革から成熟へーWithコロナ時代のPXがもたらすものー」をテーマに設定しました。患者と医療者との直接的なコミュニケーションが難しくなっているWithコロナ時代のPXを考える場にしたいと考えています。

※COVID-19の影響により、今年はオンラインのみでの開催です。

 

フォーラムは2部構成となります。

第1部では「Withコロナ時代のPX」について医師3人が語るシンポジウムを企画しています。急性期から在宅までと、医療のさまざまな段階でCOVID-19はどのような影響をもたらしているのか、そしてPXはどうあるべきなのかといった話を展開する予定です。メインイベントはオンライン開催を活かし、参加者全員がディスカッションに参加し、自組織でPXを導入する方策について検討したいと考えています。

第2部のディスカッションは、医療現場や職場でPXを広めるための人材育成としてPX研究会が認定するPXE(Patient eXperience Expert)の第2期生に、PXEで学んだことをどのように活用しているのかを語っていただきます。日本の“PX先進病院”である国立病院機構九州医療センターのPXサーベイの導入や分析結果をもとにした改善例を紹介します。

 

PX研究会会員(法人・個人)は無料。会員外の方は第1・2部で3000円となります。第1部、第2部のみ(各1500円)参加も可能です。エントリーを受付中です、多くの方の参加をお待ちしています。

 

Link:https://www.pxj.or.jp/pxforum2021/

 

 

3. 今後の予定


第5回寺子屋を8月21日(土)に開催します。日本における“PX推進ホスピタル“、国立病院機構九州医療センターの2020年度の取り組みを報告します!

 

第5回PX寺子屋

・日時:2021年8月21日(土)13:00-14:00

・テーマ:「PX概論」 訪問看護ステーションアクティホーム 事業責任者 講内源太

「九州医療センター2020年度PXサーベイ実践報告」 国立病院機構九州医療センター 小児外科医長 西本祐子

https://www.pxj.or.jp/events/

 

 

 

***********

※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

編集部から


PXE養成講座に参加されたことのある方にはおなじみのスターバックスですが、ご当地フラペチーノ「47 JIMOTO フラペチーノ」を販売中です。発売当日にオーダーが多かったランキング1位を獲得した、東京限定の「東京 オリジン コーヒー ジェリー キャラメル フラペチーノ」を飲みました。リンクにいろんなランキングやカスタマイズが紹介されていて面白いです!(F)

https://www.starbucks.co.jp/press_release/pr2021-4199.php