日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.202

1.小松市民病院のPXWG
2.PXのコンピテンシー
3. 今後の予定

1.小松市民病院のPXWG


石川県小松市にある小松市民病院では4月から、「PX向上推進ワーキンググループ(WG)」を立ち上げました。日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会代表理事の曽我香織さんが5月20日、同院で講演を行い、WGメンバーと今後どんな活動をしていくかディスカッションしました。

 

同院では病院長の新多寿さんがPXE(Patient eXperience Expert)であり、2年前から勉強会をスタート。少しずつ取り組みをしていくなかで今回、委員会と同列の位置づけのWGを設置しました。メンバーは、医師や看護師、薬剤師、技師、管理栄養士、事務職の17人です。

 

机に素敵なウェルカムボードが置かれていたとのこと。エクスペリエンスが高いですね!

 

講演では、以下のような流れでお話ししました。

1.私の医療機関における経験

2つのクリニックにおける高いエクスペリエンスと低いエクスペリエンス

2.エクスペリエンスを考える

通っちゃう店、ヘビリピしちゃう店とその理由を考える

価値の4段階で整理する

3.PXとは(概論)

4.Cleveland Clinic事例

5.研究会の歩み

6.皆さんの番です!

 

対面とオンライン(Zoom)をミックスして実施。スタッフ200人が聴講するなど好評だったようです。冒頭に「PXを知っていますか?」と聞いたところ、対面での参加者の半数以上から手が挙がったとのことで、勉強会をはじめ、これまでの取り組みの成果ではないかと思っております。

PXに取り組むゴールについて聞いたところ、新多さんからは「PXをPXと意識しない文化を院内に醸成すること」と答えが返ってきました。そして、職員にとって働きがいのある職場にすること、EX(Employee eXperience;職員経験価値)とのことです。「究極にはPX活動を通して、病院にかかわる“すべての”、自分も他の人もハッピーになることです」と新多さん。

小松市民病院「PX向上推進ワーキンググループ」メンバーです!

 

WGの活動については、7月23日(土)開催の「第9回PX寺子屋」で、WG副委員長で看護部長、PXEでもある湯野智香子さんにお話しいただきます。また、PXを体系的に学べる「第4期PXE養成講座」も同日からスタートします。寺子屋、講座の申し込みは下記「3.今後の予定」にあるリンクからお願いします。

 

 

2. PXのコンピテンシー


PXを促進する業務や行動に対して、コンピテンシー(高いパフォーマンスを発揮できる人に共通する行動特性)をどう設定するか――。米のPX推進団体「The Beryl Institute」のPXブログに投稿された、サウスカロライナ州のラルフ H. ジョンソンVA医療センターのFred Lesinskiさんの記事を紹介します。

 

記事のなかで、Quint Studerの書籍『Hardwiring Excellence』を紹介しています。

著者はStuderGroupのCEOで、2つの組織をPS(Patient Satisfaction;患者満足度)で上位1%に導いた元病院幹部です。個人的な経験と、数百の医療機関を指導した経験が書かれています。より多くの従業員を維持する、より良い顧客サービスを確保する方法のほか、強力なリーダーシップをもって組織の価値観、目標、および結果を調整するやり方などに言及。コミュニケーションを増やすこと、個人の成功に報い、認めること、運用パフォーマンスを向上させて財務、市場シェア、および成長を拡大することを挙げています。ジャーニーの中心にあるのは、目的意識、やりがいのある仕事、そして違いを生み出すことだとQuintさんは指摘。組織は、従業員の情熱を活用する方法を学ぶと、ますます勢いのある成功のスパイラルを作り出すことができるといいます。

 

Fredさんは、「医療における非常に多くの業務に対してコンピテンシーを設定しています。PXを促進する業務や行動に対してコンピテンシーを設定することは当然のことです。だから私たちはそれを実行しました」ということで、職種や部署の業務、行動にPXに関するコンピテンシーを設定しています。

「設定のための文書(アセスメントシート)は完璧なものではありませんが、組織内のさまざまな役割に対して、出発点と期待値の範囲を示すものです。いずれも、患者さんの信頼を高め、不満や不安を解消し、HRO(High Reliability Organization;高信頼性組織)の原則をサポートする、実績のある戦術に由来しています。心理的安全性をサポートし、PXを組織の優先事項として認識させるためにフィードバックツールとして、また期待値を強化するために少しずつ導入しています」とFredさん。

職種・部門ごとのアセスメントシートは下記のブログ本文にリンクが張られていてみることができます。

 

Link:https://www.theberylinstitute.org/blogpost/947424/466957/PX-Competencies-Making-Experience-a-Priority-the-VA-Way

 

『Hardwiring Excellence』はこちらから購入できます

Link:https://www.amazon.co.jp/Hardwiring-Excellence-Purpose-Worthwhile-Difference-ebook/dp/B00QO045J2

 

 

3. 今後の予定


PX研究会では医療機関や企業でPXを広めるエバンジェリストとして、PXEの認定を行っています。現在、2022年度の第4期生を募集中です。PXについて体系的に学べる内容となっております。詳細と申し込みはリンクからお願いします。

PXEの第1~3期生は5000円で受講可能です。改めてPXを学び直したいという方もぜひエントリーください。残席わずかなのでお早めにお願いします!

https://www.pxj.or.jp/pxe/

 

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第9回PX寺子屋を、7月23日(土)12:30-13:30に開催します。PX概論のほか、病院でのPX向上の取り組み事例を紹介します。

 

「PX概論」
松下記念病院 看護師 小松 良平

「小松市民病院におけるPX向上推進WG立ち上げについて」
小松市民病院 看護部長 湯野 智香子

 

研究会会員は無料、非会員の方は1000円です。

下記リンクから申し込みできます、奮ってご参加ください!

https://www.pxj.or.jp/events/

 

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※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

編集部から


前号に続いて、食べものネタです。最近仕事で富山に行ってきました。出張の楽しみといえば、ご当地のおいしいものを食べること。回転寿司店で地元の魚と白エビを味わいました。(F)