日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol. 51

1.「2nd Patient Experience Asia Summit」開催
2.「企業のCX向上事例」第2回 Amazon.com
3. 今後の予定

1.「2nd Patient Experience Asia Summit」開催


メールマガジンvol.37で紹介した、昨年12月にシンガポールで開催された「Patient Experience Asia Summit」の2回目が2019年7月31日、8月1日の2日間開催されます。開催前日の7月30日、翌日の8月2日にはワークショップの企画もあります。

 

同サミットは国際生産性本部(IQPC)が主催するもので、デジタル化が進むなか、PXを重視した質の高いケアを提供していくための方策を示します。会議やワークショップを通して、ジャーニーマップやデザイン思考、スタッフエンゲージメントを活用したPXを測るための設計や、個別化医療のためのデータ分析やAI活用などの知見が得られます。昨年のサミットには、日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会の曽我香織代表理事も参加しました。

講演では革新的なテクノロジーの利用、ヘルスケアのデジタル化、患者のエンゲージメントの上昇などについて、アジアのヘルスケア分野のリーダーから話を聞くことができます。前回も講演したアジア最大規模の企業立病院グループであるインドのアポロ病院のCOO、Santosh Marathe氏などの登壇が予定されています。

参加費用はワークショップに参加するかどうかで変わりますが、会議のみの参加であれば約25万円です。4月5日までに申し込めば約8万円のディスカウントがあります。アジアのPX事情に興味がある方はぜひエントリーしてみてください。

参加登録は、以下のリンクからできます。

https://patientexperienceasia.iqpc.com/srspricing

 

2.「企業のCX向上事例」第2回 Amazon.com


CX(Customer Experience)向上に取り組む企業を紹介する連載の第2回は、Amazon.comです。多くの人が一度はオンラインストアを利用したことがあるのではないでしょうか。オンラインストアとしての高いシェアと、現在も右肩上がりで売り上げを伸ばしている背景には、CXの高さがあります。

 

☆企業名

Amazon.com

☆企業概要

米ワシントン州シアトル市に本社を構え、1995年に書籍販売サイトとしてAmazon.comの運営を開始。それから販売商品を拡大し、今日では家具や玩具、衣料品や食料品など幅広いジャンルの商品を販売しています。世界14カ国で事業展開し、日本では2000年にアマゾン ジャパンを設立。国内最大級の総合オンラインストアであるAmazon.co.jpを運営しています。

 

☆ CX向上のための取り組み

Amazon.comは「地球上で最も豊富な品揃え」「地球上で最もお客様を大切にする企業であること」という企業ビジョンを掲げています。新規顧客を増やし、優れた顧客経験(CX)によってリピーターを増やす。その結果、Amazon.comは多くの売り手をひきつけ、売り手が増えると顧客の選択の幅も広がり、さらにCXは向上、企業の成長につながります。

Amazon.comの創業者兼CEOジェフ・べゾスはこのサイクルを「Amazon Flywheel」と呼んでいます。この成長の結果、固定費も多くの取引に分散され、より安く商品を提供できるようになります。

リピーターを増やす取り組みはいくつか存在しますが、代表的なものとして、有料で登録できる会員サービス「Amazon Prime」があります。通常オンラインストアで商品を購入する際は2日~1週間程度待つことになりますが、Amazon Prime会員になると注文した商品が当日~3日以内に届く「お急ぎ便」サービスが無料で利用可能になります。購入金額にかかわらず、配送料も無料です。さらに追加料金なしで音楽、映画、本などを楽しむことができるサービスが利用可能です。これらのサービスを、日本では年会費3900円で受けることができます。

また、注文時に住所やカードの情報を登録しておけばボタン1つで注文を確定する「ワンクリック」もリピーターを増やす施策の1つ。「ワンクリック」はAmazon.comが商標登録しており、Apple社などもワンクリックが発生するごとにAmazonにロイヤルティを支払っています。

このようにAmazon.comは消費者の視点に立ち、オンラインショッピングにおける利便性の追求、そして価格を抑える努力によって多くの顧客、リピーターを獲得しています。CXを向上させることで売り上げを伸ばす良い見本です。

実際にベゾスは、自分の成功はCXによるものだと明言しています。彼は競合他社に焦点を当てるのではなく、あくまでも顧客に焦点を当て、顧客が欲しいものを見つけ、どうやって届けるかを考えることが大事だと語っています。

 

☆CXを向上した結果

現在、Amazon.comの市場価値は約1兆ドルで、世界でも有数のリーディングカンパニーへと成長を遂げました。日本でも多くの顧客を獲得しており、Amazon.co.jpを知らない人はいないといっても過言ではありません。

 

参考文献

https://thefinancialbrand.com/70509/banking-customer-experience-cx-lessons-amazon/

3. 今後の予定


第27回勉強会を5月18日(土)に開催します。米オハイオ州クリーブランドでのサミットの参加報告や日本版PXサーベイ・入院編の最新の実施報告などを予定しています。

 

第27回 PX研究会 勉強会

5月18日(土)13:30-15:30

場所:株式会社イトーキ SYNQA 2F

「PX概論」

「PXSummit 2019参加報告」(一社)日本PX研究会 代表理事 曽我 香織

「PXサーベイ(HCAHPS)実施報告」(一社)日本ホスピタルアライアンス

 

会費:勉強会参加費 1000円(研究会員は無料)

 

※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

編集部から


好きな食べものベスト5にランクインするメロン。先日パティスリーSATSUKIで、「スーパーシリーズ」の上位互換・エクストラスーパーメロンショートケーキをいただきました。静岡産県の直径約18cmのマスクメロンの約3分の1を使用しているとのこと。頭に「エクストラ」がついていると本当に特別感があり、言葉でもエクスペリエンスを高めることができますね。(F)