日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.249

1.PX改善で病院が取り組む5つの実践
2.燃え尽き症候群シンポジウム
3.今後の予定

1.PX改善で病院が取り組む5つの実践


全米の病院が、PX(Patient eXperience;患者経験価値)の評価を高めるための新たな取り組みを開始したと、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が5月28日に報じています。米国メディアプラットフォームであるBecker’s Healthcareが発行する「Becker’s HOSPITAL REVIEW」に転載された記事を紹介します。

米国のPXサーベイを開発しているCMS(the Centers for Medicare and Medicaid Services)は、患者からのフィードバックを得るために、病院に対してHCAHPS( Hospital for Consumer Assessment of Healthcare Providers and Systems)を実施するよう求めています。HCAHPSは、CMSが運営するウェブサイト「Care Compare」のスコアとしてまとめられ、患者によってはどの医療機関を受診するかを決める際に利用されます。スコアを向上させようとする病院は、不満のある顧客を忠実な顧客に変える方法を学ぶために、接客業や消費財メーカーに目を向けています。

ハイアットホテルのグローバルブランド担当上級副社長を経て、2020年にデトロイトを拠点とするHenry Ford Healthにエグゼクティブバイスプレジデント兼最高マーケティング・PX責任者として入社したHeather Geislerさんは、WSJに次のように語っています。「医療以外の業界からも消費者の期待は寄せられており、私たちはその期待に応えるために、より良い対応をすることが求められているのです」。以下に病院がPXを向上させるために始めた5つの取り組みを紹介します。

シェフが作る料理を食べる

ニューヨーク州ニューハイドパークを拠点とするノースウェル・ヘルスは、厨房でプロのシェフを活用しています。患者には小さなメニューが渡され、そこからいつでも注文できるようになっています。料理は、受賞歴のあるシェフがオンデマンドで作っています。調理された食品は、塩分や糖分を減らし、飽和脂肪酸を避け、冷凍食品や缶詰、揚げ物などを最小限に抑えています。

同院のチーフ・エクスペリエンス・オフィサーであるSven Gierlingerさんは以前、Becker’s HOSPITAL REVIEWにこう語っています。「大きな組織としての購買力を活用したのです。加工食品を買うと実はかなり高くつくので、適切な人材がいれば、生鮮食品を調理してもコストはそれほどかかりません」

部屋をピカピカにする

UCヘルスのシンシナティ大学医療センターでは、「クリーン文化」プログラムによって、清潔さへのアプローチを一新しました。このプログラムでは、各部門のリーダーが入院患者の回診に出向き、清潔さのプロトコルを観察することを義務づけました。部屋に関する患者のアンケートは、彼らのボーナスの一部と結びついています。WSJによると、2020年第1四半期の清潔度スコアは0から100のスケールで62.1から69.5まで上昇したそうです。

より多くの敬意と礼儀を示す

フロリダ州アドベントヘルスは、全スタッフを対象に、困難な状況で患者にかかわり、礼儀、敬意、共感を伝える方法を学ぶホール・ケア・エクスペリエンスのトレーニングコースを開始しました。シミュレーションでは、患者を装った演者を採用し、スタッフがニーズや懸念事項を理解し、予測することを学べます。またスタッフは問題を認めて謝罪し改善、実行する方法を説明します。

患者をケアプランに参加させる

オハイオ州にあるクリーブランド・クリニックでは、毎日患者のベッドサイドで、医師、看護師、その他の臨床医、そして患者が参加する「plan-to-care visits」を実施しています。患者ケアについてチームで話し合い、患者がメモを取れるようにノートを用意しています。

この訪問は、「患者体験を向上させるという点で、私たちが行った中で最もインパクトのあるものです」と、安全・品質・患者体験最高責任者のLeslie Jurecko医学博士はJournalに述べています。

患者の退院時にバーチャル看護師を活用

ジョージア州マリエッタを拠点とするウェルスターは、2022年5月、バーチャル退院看護師を利用したバーチャル退院プロセスを開始しました。看護師はビデオ画面越しに患者と面会し、患者のフォローアップ計画や自宅でのケア、投薬について説明します。家族もビデオ通話に参加し、質問することができます。平均通話時間は約22分で、89%の患者さんが退院プロセスについて好意的な経験をしたと報告しています。

全文は下記リンクから読むことができます。

Link: https://www.beckershospitalreview.com/patient-experience/5-ways-hospitals-are-working-to-improve-patient-experience.html?utm_campaign=bhr&utm_source=website&utm_content=latestarticles

2. 燃え尽き症候群シンポジウム


ヘルスケアにおける燃え尽き症候群シンポジウムがニューヨーク大学Langone Healthで11月2~3日に開催されます。医療従事者のwell-being促進を目的としたもので、専門家の講演やカンファレンス、ワークショップなどが行われます。

医師と看護師の燃え尽き症候群は公衆衛生上の危機であり、ヘルスケアのエコシステム全体で対策を講じることが求められています。燃え尽き症候群は、臨床医だけでなく、彼らが仕える患者にも影響を及ぼします。シンポジウムでは、オピニオンリーダーや関係者を集め、時間的制約、技術、規制など、バーンアウトの多面性に取り組み、医療システム内で実行可能な解決策を得ることができます。

シンポジウムでは以下について学ぶことができます。

・燃え尽き症候群を引き起こす要因について、生産的かつ積極的に議論する方法を学ぶ

・テクノロジーが臨床医の幸福に与える影響について理解する

・臨床スタッフの二次的トラウマと自殺のリスクを低減させる

・チーム医療による業務分担とバーンアウトの低減の可能性を評価する

詳細は以下にあります。登録することで最新情報の提供を受けられます。

Link: https://www.stophealthcareburnout.com/

3. 今後の予定


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では第5期生のPXEの募集を開始しております。

2023年7月開講の全5回の養成講座では、PXの基本的な考え方からPXサーベイの実践、患者ジャーニーマップの作成、患者の思いを引き出すコミュニケーション法などを学ぶことができます。

患者視点の医療サービス提供を実現したい方であれば、医療者に限らず、どなたでも受験可能です。医療現場や職場でPXを向上させる旗振り役として、私たちと一緒に活動しませんか?

概要および申し込みは下記リンクからお願いします。

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PX研究会では今年から新たにEX(Employee Experience;従業員経験価値)講座を開講します。

EXは医療現場で働く人が経験する、すべての体験を指します。EXを高めることで組織目的の達成のためのエンゲージメント向上、従業員のwell-being向上、患者へのよりよいPXにつながるとされています。実際に、海外の知見ではEXとPXの関連性が示されています。講座ではEXの定義、EXを高めるうえでどのような視点が重要なのか、医療期間でどのような取り組みができるか、そしてPXとの関連性について初学者向けに解説します。

申し込みは下記リンクからお願いします!

https://www.pxj.or.jp/ex/

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※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

編集部から


前回に続いてランチネタです。サラッとしたカレーが好きでよく食べます。コロナが落ち着いたと思っていたら最近お店が次々と閉店していて悲しいです。(F)