日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol. 62

1.デジタルヘルスプラットフォームへの投資熱
2.連載「Patient Stories」第3回 患者とチームがともに歩む治療
3. 今後の予定

1.デジタルヘルスプラットフォームへの投資熱


2017年に設立された、米シアトルを拠点とするヘルスケアベンチャー、Xealth社が提供するデジタルヘルスプラットフォーム「Xealth」にAtrium Health、Cleveland Clinic、MemorialCare Innovation Fundが約300万ドルの投資を行ったことが公表されました。これまでMckesson Ventures、Novartis、Philipsなどから調達した資金と合わせて約1400万ドルを、Xealthのプラットフォームの開発および展開に活用するとしています。

Xealthは、臨床医と患者からの電子医療情報を統合するデジタルヘルスプラットフォームです。プラットフォームはEHR(Electronic Health Record;医療情報連携基盤)に組み込まれていて、医師を含めたケアチームは薬をオーダーするのと同じ感覚でさまざまなデジタルコンテンツやサービスをオーダーでき、患者教育やエンゲージメント向上につなげることができます。

患者はポータルサイトから“デジタルヘルス処方箋”にアクセスでき、自分の健康状態を管理できます。医師は処方箋へのアクセスを監視することが可能で、それによってケアの効率化を図れます。

デジタルヘルスツールの急増に伴い、ヘルスケア関連企業では医療情報を簡単かつ安全に管理し、利用を促進する方法を必要としており、Xealthに多くの投資家が集まるのはその現れです。

「十分な医療情報を得ている患者はエンゲージメントが高く、医療提供側と深いパートナーシップを築けます」と今回投資したクリーブランドクリニックの遠隔医療担当メディカルディレクターであるPeter Rasmussenさんは言います。「テクノロジーによってデジタルヘルスツールを臨床のワークフローに組み込めるようになり、PXが向上します。患者に適切な情報を提供し、閲覧内容を分析することは、いつでもどこでも患者が情報にアクセスできるようにするという、我々の目標と一致しています」

 

出典:https://www.xealth.io/press/06202019_mediaadvisory.html

 

2.連載「Patient Stories」第3回 患者とチームがともに歩む治療


米オハイオ州のクリーブランドクリニックが公開する、さまざまな患者の物語を紹介する「Patient Stories」。第3回はチームによるサポートにより肥満手術を受けて健康を取り戻した女性のストーリーです。

 

☆患者とチームがともに歩む治療

「アスリートで元々体重は少し重たかったのですが、若いころは問題になっていませんでした。しかし歳をとるにつれて代謝が落ち、アスリートの時と同じように食べていたら体重はかなり増えてしまいました。うつ病や、仕事や日常生活が制限されるぐらいの関節痛を引き起こしたので、減量手術を検討しました」と45歳のMonica Kressさんは語ります。

Monicaさんはかかりつけ医から、 Cleveland Clinic Akron Genelralの肥満手術センターの医師、Christopher Daigleさんを紹介されました。同クリニックを受診したところ、Monicaさんは外科的治療を行う条件を満たしていたため、半年間かけて手術に向けた準備をしました。

肥満手術チームのメンバーは、Monicaさんの摂食障害、不健康な活動や思考パターン、薬物乱用など、手術の成功を妨げる可能性のある要因がないかどうかを評価したうえで適切な水分補給、タンパク質、ビタミンサプリメントの摂取を指導。健康によい食品を選択するための栄養表示の読み方をMonicaさんに学んでもらうため、栄養士とのカウンセリングも行いました。

肥満治療プログラムのNP、臨床コーディネーターのAmy Laktashさんは、手術までの治療から術後の数年間のフォローアップも含めて、患者に寄り添っています。Amyさんは「患者が治療プログラムを迅速かつ安全に遂行でき、常に最良な健康状態を維持できるようにチームで協力して動いています」と話します。

「我々のゴールはMonicaさんのQOLを高めることです。減量手術は体重の問題やその他の健康問題に対処するうえで非常に効果的で、寿命の延伸につながります」とChristopherさんは述べます。

術後9カ月でMonicaさんの体重(BMI)は正常値となり、今では週に5~6日、最低30分間は運動をするようになりました。「手術のおかげで私は自分の信念を取り戻しました。そしてもう膝は痛くありません」。

 

出典:https://my.clevelandclinic.org/patient-stories/300-enjoying-an-active-pain-free-life-thanks-to-weight-loss-surgery

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日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では今年から、PXの高い医療機関を投票によって決める「PXアワード」を開催します。医療従事者、患者、企業の方、どなたでも投票可能です。PXの高い医療機関として推薦する医療機関名と推薦理由、あなたの患者としてのストーリーをぜひお寄せください。

PXアワード2019

3. 今後の予定


7月13日(土)に第28回勉強会を開催します。ホームページで参加申し込みを受け付けていますのでぜひエントリーください。

 

第28回 PX研究会 勉強会

7月13日(土)13:30-15:30

場所:株式会社イトーキ SYNQA 2F

「PX概論」 講内源太

「PX最近のあゆみ」
演者:齋藤貴之・斎藤恵一・曽我香織・西本祐子・講内源太

 

会費:勉強会参加費 1000円(研究会員は無料)

 

 

※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

編集部から


恐らく中学生以来の動物園に行ってきました。多摩動物公園に行ったのですが、珍しいチーターと猫を掛け合わせたような動物がいてとてもかわいかったです(写真はうまく取れなかったので、HPから借りました)。(T)