日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.69

1.「第2回PXフォーラム」のご案内
2.連載「Patient Stories」第10回 ボーイフレンドの命を救った母の死
3. 今後の予定

1.「第2回PXフォーラム」のご案内


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では2019年11月2日(土)に、東京・秋葉原で第2回PXフォーラムを開催します。昨年に引き続き2回目となりますが、内容も会場も昨年よりパワーアップさせ、より多くの方と日本におけるPXを考える機会にしたいと運営メンバー一同、準備を進めています。今年のフォーラムの詳細についてご紹介します。

 

PXフォーラムは日本におけるPXの認知度を高めるイベントとしてPX研究会で企画、昨年11月に第1回を開催しました。初のフォーラムでは3つの講演、病院事例の紹介、パネルディスカッションを行いました。参加者の内訳は医療職が41%、会社員35%、医療事務職8%などでした。

今年の第2回PXフォーラムは、テーマを「PXの進化と真価~令和の医療を築く~」としました。PX研究会が開発した日本版PXサーベイを実施する医療機関が増えてきたことと、実施に留まらず分析や改善につなげるといった「進化」が今後試される、つまり「真価」が問われるなかで、PXをこれからの日本の医療のムーブメントとしていきたい――といった意気込みと思いを込めています。

 

プログラムは、国内外の最新トピックと、日本版PXサーベイの分析手法を紹介する2つの講演をはじめ、日本でのPXの取り組みの現状と今後の展望がわかる構成となっています。

国立病院機構九州医療センター、前橋赤十字病院、稲波脊椎・関節病院の3病院でのサーベイ実施、改善事例は、医療機関で今後導入するための参考となる内容です。病院だけでなく在宅医療におけるPXサーベイの実施事例の発表もあります。PXは患者の視点なしでは向上しないものであり、患者からみたPXについて考えるパネルディスカッションを行います。

また、医療現場や職場でPXを向上させるための人材育成として今年からスタートした「PXE(Patient eXperience Expert)養成講座」については、受講生を代表して2人の医師、歯科医師が登壇し、学んだことを現場で活かす方法などを語ります。そのほかメールマガジンでも毎回アナウンスしている「PXアワード2019」の表彰と、表彰医療機関の発表を予定。ランチョンセミナーでは中央大学大学院戦略経営研究科教授の真野俊樹さんに、医療マネジメントにおけるPXの重要性を説明いただきます。

フォーラムは昨年好評だったチャット形式により、会場の参加者の方から随時、質問やコメントを寄せていただくことで議論を深めていければと思っています。参加費は研究会会員6500円、非会員9000円ですが、8月末までに申し込みいただくと早期割引で8000円となります。

 

参加申し込みは以下のリンクからお願いします。会場に足を運んでいただき、PXについて一緒に語り合いましょう。

Link: https://www.pxj.or.jp/pxforum-2019/

 

2018年11月3日に開催した第1回PXフォーラムの様子。今年はより大きな箱(会場)を用意し、みなさまの参加をお待ちしています!

 

 

2.連載「Patient Stories」第10回 ボーイフレンドの命を救った母の死


突然の死、ドナーとしての臓器提供……残された家族は大きなショックと悲しみのなかで、大きな決断に迫られることになります。第10回の「Patient Stories」では亡くなった母親の腎臓を、娘のボーイフレンドに提供した家族の物語です。

 

☆臓器提供により人々のなかで生き続ける

2018年12月、脳動脈瘤により46歳だったKarey Genglerさんは突然の死を迎えました。Kareyさんがオハイオ州の運転免許証で臓器や組織提供のドナーとなっていたことを知らされたとき、彼女の夫のRonさんは娘のJosie Brownさんの22歳のボーイフレンド、Mike Rogers Jr.さんに腎臓の1つを提供するように頼みました。

Mikeさんは遺伝性の腎炎であるアルポート症候群の合併症で、2018年4月に腎臓移植リストに載っていました。「当初、その申し入れを受けたくありませんでした。Kareyさんの死に感情を押しつぶされましたが、本心では彼女の腎臓を手に入れたいと思っていたからです。しかしJosieと彼女の家族は腎臓を受け取るよう勧めてくれ、しかも腎臓が完全に適合することがわかりました」とMikeさんは回想します。

移植を決めた数日後、クリーブランドクリニックの腎臓移植プログラムの外科ディレクターであるAlvin Weeさんが手術を行いましたが大きな合併症もなく、3日後に退院できました。Josieさんによると、Kareyさんは生前Mikeさんの病状を心配していて、Mikeさんのドナーになることも考えていました。Kareyさんの心臓はカリフォルニアのレシピエント(ドナーから臓器を提供される人)のもとに、左肺やもう1つの腎臓、膵臓は別のレシピエントが受け取りました。Josieさんは「この1週間に起きたことについてはまだおぼろげですが、母がMikeやほかの人に臓器を提供することで生き続けることができ、Mikeは再び普通の生活を送ることができると理解しています」と話しました。

Mikeさんは2017年に腎不全の症状が出始めました。ちょうど夜間の警備員の仕事に就いたばかりで、長時間にわたる仕事が頻繁な吐き気と嗜眠(しみん)を引き起こしていると思っていましたが、同僚が彼の黄色い顔に気づきました。Josieさんは彼を急いで緊急治療室に向かわせたところ、アルポート症候群が腎機能を壊していることがわかったのです。臓器移植までの待機中、Mikeさんは週3回、4時間ずつ透析治療を受けましたが疲れ果ててしまい、大学を休学しました。移植後、回復した彼は人間性を取り戻し、Josieさんとのビーチでの休暇を計画するなど前向きに、先のことを考えられるようになりました。

 

 

出典:https://my.clevelandclinic.org/patient-stories/287-moms-tragic-death-provides-life-saving-kidney-transplant-for-daughters-boyfriend

☆☆☆

日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では今年から、PXの高い医療機関を投票によって決める「PXアワード」を開催します。医療従事者、患者、企業の方、どなたでも投票可能です。PXの高い医療機関として推薦する医療機関名と推薦理由、あなたの患者としてのストーリーをお寄せください。

PXアワード2019

3. 今後の予定


第29回勉強会は今週末、8月24日(土)の開催です。マーケティングとイノベーションを専門とする川上智子さんからCXの話をお聞きしたうえで、参加者でPXについてディスカッションを行います。

 

第29回 PX研究会 勉強会

8月24日(土)15:00-17:00

場所:株式会社イトーキ SYNQA 2F

※通常と開始時間が異なります。

※終了後に京橋で納涼会(懇親会)を開催します。どなたでも参加できます。参加希望の方は8月22日(木)までに、PX研究会アドレスinfo@pxj.or.jp にご連絡ください。

 

「PX概論」 日本赤十字社医療事業推進本部財務課長  古源 真

「日本医療マネジメント学会発表報告」 日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会 藤井弘子

「マーケティング最前線におけるCX」 早稲田大学大学院経営管理研究科教授 川上智子

 

会費:勉強会参加費 1000円(研究会員は無料)

 

※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

 

編集部から


栃木県日光市に行き、天然氷のかき氷を初めて食べました。開店時間に着いたらすでに整理券番号が40組目……途方に暮れましたが先に会計したら好きな時間に戻ってくればいいということで用事を済ませたうえで再来店。待ち時間対策、ばっちりです。写真のかき氷は「メロメロメロン」という名前。ふんわりした食感と果実のジューシーさに文字通りメロメロでした。(F)