日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.76

1.第2回PXフォーラム・クローズアップ①
2.連載「Patient Stories」第17回  ライフスタイルを変えないためには?
3. 今後の予定

1.第2回PXフォーラム・クローズアップ①


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会の年1回の“祭り”、PXフォーラムの開催まで1カ月を切りました。2回目となる今年は、昨年以上に内容を充実させています。運営スタッフを含めた参加者の学びとなる、楽しいイベントにしたいと意気込んでいます。

ということで、今号のメールマガジンからフォーラムの聴きどころ、見どころなどを紹介していきたいと思います。

 

 

<聴きどころ>

PX研究会の立ち上げから取り組んできたのは、日本でPXを測るための指標づくりです。PX発祥の国、イギリスのNHS(国民保健サービス)が実施するPXサーベイの質問票を参考に、日本の医療に適した設問に絞り込み、日本版PXサーベイを完成させました。フォーラムでは、3つの急性期病院でのサーベイ実施事例を紹介します。

日本版PXサーベイは入院編と外来編を開発していますが、国立病院機構九州医療センターでは唯一、外来編サーベイを実施しています。いち早く入院編を実施した前橋赤十字病院はこれまでの3回の実施から、自院の医療サービスの実態を把握できました。稲波脊椎・関節病院はiPadを活用し、効率的にサーベイを実施しています。

サーベイを実施するだけでなく、結果を受けていかに改善にするかに意味があります。パネルディスカッションでは、今年日本版PXサーベイを実施した市立福知山市民病院も加わり、実施のポイントと有効性について議論していきます。

「患者の声やニーズをどうしたら把握できるかがわからない」「患者満足度調査をしても改善につながらない」という医療機関関係者の方に、ぜひ参考にしていただきたいです。

 

<見どころ>

フォーラムは昼前から夕方までと、長時間での開催となります。座り続けて疲れた……というタイミングで“PX研究会の体操のおにいさん”が登場します! 今年はイスではなく舞台の上から、リフレッシュできるエクササイズを参加者に伝授します。

PXフォーラムの詳細と参加申し込みは下記リンクからお願いします。

https://www.pxj.or.jp/pxforum-2019/

 

 

2.連載「Patient Stories」第17回 ライフスタイルを変えないためには?


第17回の「Patient Stories」は遺伝子性疾患によりライフスタイルを変えなければならなくなった、若い患者が主人公。患者が通常の生活を送るためのQOLを考え、サポートをする医療とはどういったものなのかをお伝えします。

 

☆「必要なことは何でもやりたい」

Michael Ambroseさんは17歳、高校3年生の時にたちの悪い流感にかかったようなことが起こり、胃の痛みと不快感が数週間続きました。Michaelさんの両親は彼を何人かの医師に診せましたが何が原因なのかを断定するのが難しく、その「謎解き」が医学カンファレンスで話題になったぐらいでした。「医師の1人は、『何かわからない、ひどいことが起きている』と私に言いました」とMichaelさんは振り返ります。最終的に、大腸内視鏡検査と遺伝子検査により、消化管にポリープができる若年性ポリポーシス症候群(JPS)という遺伝子性疾患であることが判明しました。JPSの原因となる遺伝子変異によって引き起こされる、血管の異常から出血が起こりやすくなるオスラー病(HHT)も見つかりました。

時間の経過とともに、これらの疾患はMichaelさんの人生に深刻な影響を与えました。半年ごとに内視鏡検査を受け、結腸と腸、胃にできた数十個ものポリープを除去しました。それでも彼はワシントンDCの議員のスタッフというストレスの多い仕事をこなしていましたが、27歳の時に突然めまいと息切れを起こし、歩くことも腕を上げることもできず、数週間ベッドで休まなければなりませんでした。ポリープからの内出血が原因であり、複数のトップ病院の医師からは内視鏡で切除できないポリープで、胃の一部を切除すべきだと言われました。

若い年齢で根治的な手術を受けたくなかったMichaelさんは、プライマリケア医からクリーブランドクリニックSanford R. Weissの遺伝性大腸腫瘍センターの医師、 Amit Bhattさんの診療を受けられるようサポートを受けました。2017年秋に、MichaelさんはAmitさんと初めて面会し、2018年1月に内視鏡的大腸粘膜切除術(EMR)を受けた後は、食生活を含めて通常の生活を送り、かなりの出張を必要とする新しい仕事を始めました。「Amit さんと彼のチームへの感謝は、言葉で十分に言い尽くせません」

Sanford R. Weissの遺伝性大腸腫瘍センターは、世界最大規模のJPSの治療を専門とする施設です。「ほとんどの患者は20歳までに症状が現れ、20~30代になって受診します。彼らは通常の生活を送ることを望んでおり、そのための手術を行っています」とAmit さんは言います。

「通常の生活を続けるために必要なことは何でもやりたいです。私には治療にとても協力的な家族がいて、クリーブランドクリニックのケアを支持しています。クリーブランドクリニックは施設からスタッフまでがすべて一流です。Amit さんは命の恩人であり、家族全員が感謝しています」

 

出典:https://my.clevelandclinic.org/patient-stories/321-man-with-rare-disorder-leads-normal-life-after-stomach-sparing-procedure

 

☆☆☆

日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では今年から、PXの高い医療機関を投票によって決める「PXアワード」を開催します。医療従事者、患者、企業の方、どなたでも投票可能です。PXの高い医療機関として推薦する医療機関名と推薦理由、あなたの患者としてのストーリーをお寄せください。

PXアワード2019

 

3. 今後の予定


第30回勉強会を10月19日(土)に開催します。「がん患者のPXとは何か」を考える機会です、多くの方の参加をお待ちしています。

 

第30回 PX研究会 勉強会

10月19日(土)13:30-15:30

場所:(株)セントラルユニ マッシュアップスタジオ

http://www.central-uni.co.jp/mashup-studio/

※通常と開催場所が異なります。間違えのないようにお越しください。

 

「PX概論」 国際医療福祉大学大学院教授 斎藤 恵一

「8カ月に及ぶがん治療における私のPXについて」 ティーペック株式会社 がん対策推進企業アクション 認定講師 花木 裕介

 

会費:勉強会参加費 1000円(研究会員は無料)

※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

編集部から


先週の編集後記から「かわいい」文化に影響をすっかり受けており、学生時代以来!?久しぶりにプラザの文具コーナーに行きました。パステルカラーにあふれていました。よく使っていた蛍光ペンもフーシャピンクからパステルピンクに変わっていて、時の流れを感じました。近所のタピオカドリンクもパステル感満載でした。(F)