日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.87

1.PX対談の動画を公開中!
2.連載「Patient Stories」第25回  虫刺されだと思ったら実は……
3. 今後の予定

※メールマガジンの次回配信は2020年1月9日となります

1.PX対談の動画を公開中!


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会の法人会員である大日本住友製薬株式会社のホームページで、PXを紹介する動画が公開されています。

 

同社はヘルスケア業界で先駆けて、患者と患者にかかわるすべての人が、よりよい「経験」の実現につなげていくというヘルスケア・エクスペリエンス(HX; Healthcare eXperience)を掲げています。そして、HXの実現につながるさまざまな取り組みを行っています。日本PX研究会とのコラボレーション企画もその1つです。

今回の動画は、当研究会代表理事の曽我香織さんと理事の安藤潔さんの対談形式により、PXを紹介する内容です。全4回のシリーズで、12月12日に第1回、本日26日に第2回が公開となりました。

第1回「PXが必要とされる背景」では、日本でPXが今注目されている医学的背景から海外での取り組み状況、さらに日本の医療政策におけるPXの位置づけなどを紹介しています。

第2回「PXとは何か? PXとPSの比較」は、混同されがちなPS(Patient Satisfaction;患者満足度)とPXとの違いについて触れています。PXはプロセスを具体的に評価するもので、医療データのなかのPRO(Patient Reported Outcome;患者報告アウトカム)の1つだと説明。PXを向上させることでPSも向上し、患者からのクレーム減少のほか、ES(Employee  Satisfaction;職員満足度)向上や離職率低下などにも効果があることなどを語っています。

第3回「PXサーベイ票のデータ分析」、第4回「PXの測定結果をどのように改善に結びつけるか」は、年明けに順次公開される予定です。

 

動画は各回5分程度となっています。初めてPXという言葉を聞く方にもわかりやすい内容となっています。お時間のある時にご視聴ください。

Link: https://ds-pharma.jp/learning/hx/seminar/px/

 

2.連載「Patient Stories」第25回 虫刺されだと思ったら実は……


クリーブランドクリニックのさまざまな患者ストーリーを紹介する「Patient Stories」。第25回はひどい虫刺されだと思って受診したら実は……という驚くような話です。何事も早めの対応が大事ですね。男性の受診行動といった興味深いデータも紹介しています。

 

☆72%の男性は「受診よりもトイレ掃除」

Mike Ballaさんは最初にクリーブランドクリニックに救急車で運ばれた時に心によぎったのは、救急室の医師がほかの患者と自分を間違えているということです。

Mikeさんは足の上部が赤く腫れ、触ると痛かったことからかかりつけ医を受診、抗生物質を服用したものの、病状は悪化し続けました。クモやほかの昆虫などに刺されたと思い、救急車でクリーブランドクリニックに運ばれたところ、急性骨髄性白血病(AML)だと診断されたのです。

Mikeさんと彼の妻は、頭を打たれたような衝撃を受けましたが、熟考する時間はありませんでした。治療計画の最初のステップとして、クリーブランドクリニックがんセンターで化学療法とともに食事療法を開始しました。

血液内科医、腫瘍内科医のAaron Gerds医師によると、急ぎでの対応が不可欠でした。「突然変異体または染色体形成を伴うAMLは化学療法だけでは治すことができないことがわかっています。私たちの目標は、Mikeさんをできるだけ早く症状を緩和させ、骨髄移植の準備をすることでした」

Mikeさんは虫刺されと思い、1~2週間様子を見て受診したかもしれませんが、多くの男性は健康上の問題が発生した場合、受診するのに数カ月から数年もかかります。「時には、それでは遅すぎます」とAaronさんは言います。「非常に多くのケースとして、男性は自分の健康について何かあっても見なかったことにします。取り返しがつかなくなった時に、私たちのところを訪れます」

幸いなことにMikeさんの受診までの短い遅れは、治療に悪影響を与えませんでした。1カ月の入院によりがんは寛解し、兄のMarkさんをドナーとする骨髄移植を受け、移植は成功しました。しかしパートタイムで仕事に戻って2カ月後の血液検査の結果、がんが再発していました。

化学療法をさらに繰り返した後、MikeさんはAMLの治療に有効だと期待されている乳がん薬の臨床試験を受けました。そして再び、寛解した状態となり週4日、職場で「普通の人」として働いています。がんの診断前より体重が70ポンド軽くなったため、近所を散歩するなどして筋肉と持久力を取り戻すことを楽しんでいます。

クリーブランドクリニックの調査「national MENtion It®」で、「医師にかかるよりもトイレ掃除や芝生の刈り取りなどの家事をしたほうがいい」と回答した72%の男性を含め、受診を避ける男性に対し、Mikeさんはアドバイスします。

「健診を受けるのにかかる時間は、何カ月もの間健康上の問題を予防するのに役立ちます。受診する時間がないと思うかもしれませんが、そうではありません。医師のところに行かなければ、もっと大きな問題を抱えているかもしれないのです」

出典:https://my.clevelandclinic.org/patient-stories/321-dad-went-to-doctor-for-a-bad-bug-bite-diagnosis-was-leukemia

 

national MENtion It®:https://newsroom.clevelandclinic.org/2019/09/04/cleveland-clinic-survey-men-will-do-almost-anything-to-avoid-going-to-the-doctor/?_ga=2.192474924.708064250.1577328958-1810671398.1560335461

 

3. 今後の予定


日本PX研究会では勉強会を3年間、東京で定期開催していましたが、来年は「PX寺子屋」と銘打ち、全国展開していきます!

内容は、PXの初歩的な話と実践事例(事例はスピーカーによって異なります)の紹介です。年10回程度を予定しており、日時、場所は決定次第、当メールマガジンやホームページでお知らせします。自分の医療機関や地域で寺子屋を開催したいというご要望にもお応えできればと思っていますのでぜひお声がけください。

※研究会員の方が対象です。地方開催の場合は交通費をご負担いただきます

 

※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

編集部から


2019年もあと少し。いろんな場所に行きましたが神戸の動物園で見たゾウと青森のリンゴが印象深かったです(写真は家に新しく迎えたゾウとリンゴのブッシュ・ド・ノエル)。今年1年、メールマガジンのご購読ありがとうございました。来年はより充実した内容にしていきたいと思っています。引き続きよろしくお願いいたします。(F)