日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.93

1.摂食嚥下リハ学会でPX研修・受講者募集!
2.連載「Patient Stories」第31回 患者をピッチに戻すプログラム
3. 今後の予定

1.摂食嚥下リハ学会でPX研修・受講者募集!


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会の理事である出江紳一さんが副理事長を務める一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会では2020年度、多職種連携を実践する人材育成モデル構築事業を行います。同事業ではPXを学べる「チーム医療実践リーダー育成研修」を開催、現在受講者を募集しています。

 

嚥下障害への対応には医師、歯科医師やセラピストなど多職種によるチーム医療が欠かせません。医療の質や医療安全、そして患者中心という視点においても、医療者が対職員・対患者コミュニケーションを修得することが大事です。

東京で開催する全7回(2020年5月~2021年3月)の研修では、コーチングとPXのエッセンスを学ぶことができます。
講師は出江紳一さんのほか、PX研究会代表理事の曽我香織さん、理事の安藤潔さんの3名が担当します。

コーチングでは基本から多職種間で活用できるスキルを学習。受講者の職場でのコーチング実践記録や学習到達度を一元管理するWeb学習支援システムを使い、効果的な学習サポートを行います。

PXのパートでは概論に加えて、PX研究会が主催するPXE(Patient eXperience Expert)養成講座のカリキュラムにも含まれる、ペイシェント・ジャーニーマップを作成します。ペイシェント・ジャーニーマップは、患者の行動や状態を詳細に把握するためのツール。患者になりきって医療やサービスを眺めることで、普段気づかない改善点を見つけることができるフレームワークの1つです。PX導入による、チーム医療が患者にもたらす影響についても紹介します。

 

研修の受講料は無料。受講資格は、1)同学会会員であること(現在非会員でも申し込み時点で即時応募が可能)、2)全回参加できること(欠席時は補講ビデオで聴講)、3)所属組織内に育成したい、または業務上の連携を深めたい部下や同僚がいること――の3点です。

応募は今月末の締め切りとなります。PXをチーム医療に活かしたいと考えている方、ふるってエントリーください。

Link: https://coaching-portfolio.com/

 

 

2.連載「Patient Stories」第31回 患者をピッチに戻すプログラム


連載「Patient Stories」の第31回は、膝をけがしたアスリートが競技に復帰するまでを支える話です。高レベルのスポーツに対応できる理学療法のノウハウをクリーブランドクリニックでは公開しています。

 

☆ リハビリ後と身体状態とのギャップを埋める

Christian Lombardiさんは4年のうちに2回、膝前十字靭帯(ACL)を断裂した後、クリーブランドクリニックアクロンジェネラルのReturn to Sportプログラムによって、これまでになくアクティブになりました。同プログラムはACL再建術やその他の下肢手術の治療を終えたすべての人に公開されており、専門的なプログラムによってアクティブなライフスタイルやスポーツに復帰する準備を行います。

「2回目のACL断裂後に、通常の理学療法では高レベルのスポーツに対応できないため、再び高いレベルでサッカーをすることができないとわかりました。それで、私の担当の理学療法士が同プログラムを提案してくれました」

高校のアスリートでフィットネスの熱狂者であるChristianさんはACLを断裂する前に戻って、長い間健康的なライフスタイルを送ることを決意していました。MCの愛称で知られるMary Katherine McKeeさんは同プログラムのスポーツ・パフォーマンス・スーパーバイザーです。「理学療法の終了後とスポーツができる状態とのギャップを埋めるためにこのプログラムを開始しました。中学生から大人まで、リハビリ後のあらゆる段階の人を迎い入れています」

「MCは素晴らしい、アスリートを本当に理解しています」とChristianさんは語った。「1カ月のトレーニング後、痛みはほぼ完全になくなりました。私のトレーナーは各エクササイズについて説明し、アスリートとしての目標に戻るために必要なことを集中して行いました」

Christianさんはクロスカントリーの動きと新しいキャリアを下積みしたことで、これまで以上に自分の強さを感じています。さらに同プログラムを友人に紹介しました。「プログラムのおかげでけがを乗り越えられました。ACLを痛めた人ならだれでも、アクティブなライフスタイルに戻るために試してみたいと思うはずです」

クリーブランドクリニックアクロンジェネラルのReturn to Sportプログラムは60分のセッションを週3回提供しています。

 

出典:https://my.clevelandclinic.org/patient-stories/356-return-to-sports-program-gets-patient-back-on-pitch

 

3. 今後の予定


福岡市で2月29日(土)に開催される「日本医療マネジメント学会 第19回福岡支部学術大会」で、PXについてのシンポジウムを行います。

日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会からは代表理事の曽我香織さん、世話人の井村洋さん(飯塚病院特任副院長)、西本祐子さん(国立病院機構九州医療センター小児外科医長)、小松良平さん(松下記念病院看護部看護師長)が登壇予定です。奮ってご参加ください!

https://www.19jhm-f.com/

 

当研究会では勉強会を3年間、東京で定期開催していましたが、2020年は「PX寺子屋」と銘打ち、全国展開していきます。

内容は、PXの初歩的な話と実践事例(事例はスピーカーによって異なります)の紹介です。年10回程度を予定しており、日時、場所は決定次第、当メールマガジンやホームページでお知らせします。自分の医療機関や地域で寺子屋を開催したいというご要望にもお応えできればと思っていますのでぜひお声がけください。

https://www.pxj.or.jp/events/

※研究会員の方が対象です。地方開催の場合は交通費をご負担いただきます

 

※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

編集部から


病院のライブラリーをのぞくと最近は患者向けのリーフレットが充実しています。手に取りたくなるデザインと内容なのもナイス!私の若いころは情報がなく、独りだったことを思い出しました。人が生きるには何かしらの支えが必要だと思うのです。(F)