日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.116

1. 2020年のPXトレンド
2.PXEになりませんか?
3. 今後の予定

1.2020年のPXトレンド


医療機関におけるPX(Patient eXperience;患者経験価値)の改善が医療の質向上、PS(Patient Satisfaction;患者満足度)につながるなど、PXは絶えず進化・深化していくものです。また、医療を取り巻く環境の変化にもPXは影響を受けます。2020年のPXを語っている興味深い記事を見つけたので紹介します。

 

ICT活用によるヘルスケアソリューションを提供する米ニューヨーク州にあるPhreesia社は、遠隔医療や対面での接触減少をサポートするための製品を提供しています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、デジタルによるエンゲージメントを図るツールへのニーズが急速に増えていると指摘。医療機関が安全に患者の診療を行うための支援として、同社ではCOVID-19リスクのスクリーニングツールを開発しています。

特にPOC(Point Of Care;患者に近いところでのケア)については大きな変更が求められているとして、次の5つを挙げています。

1.POCは物理的な場所に関連づけられなくなった。患者がプロバイダー(医療従事者)からのケアを受けたいと選ぶあらゆる場所が対象となる。

2.対面による訪問回数は変動し、広告の表示回数などによって大きな影響を受ける。そのため、1対1のエンゲージメント戦術はとてつもない価値のあるものとなる。

3.見かけだけの共有、シェアに対するプロバイダーの感度が高まり、多くの従来のマーケティング戦略の効果は下がる。

4.患者は個々のニーズに合わせた、パーソナライズされたコンテンツをより受け入れるようになる。

5.患者のケアへのアクセスが途絶えることで、患者サポートプログラムの必要性が高まっている。

 

COVID-19は、POCのワークフローの変更をもたらしています。メディカルオフィスでは患者との接触を限りなく減らす「ゼロコンタクト」により被曝を最小限に抑えるようにしているといいます。診察予約をし、病院に到着したら車のなかで待機し、モバイルデバイスによって受診受付を行い、待合室はなくします。医療者以外のスタッフの大半はリモートでの業務を行うようになります。

また、医療マーケティングはヘルスケアに対する患者の関心と不安に合わせてサービスを個別化する必要があります。COVID-19は患者の医療へのアクセスに混乱を引き起こした結果、医療機関の閉鎖と手術件数の減少を余儀なくされ、数十万人の患者の治療が遅れたほか、雇用や教育など患者の社会的決定要因が悪化しました。患者に対し、治療プロトコルの再開の重要性や多数の支援プログラムを認識させる必要もあります。PXが患者中心性、デジタル適応、パンデミックへの対応にますます注力するようになることで、患者ニーズに合わせたICT活用によるエンゲージメント戦略に照準を合わせる方策を見つけていくことが求められます。

Link:http://www.dtcperspectives.com/patient-experience-outlook-2020-trends-and-tips/

 

2.PXEになりませんか?


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では日本の医療現場でのPXの推進役となるPXE(Patient eXperience Expert)の養成に昨年から取り組んでいます(当メールマガジンを長く購読されている方はご存知だと思います)。今年の養成講座は9月からスタートしますが、その前に、PXEを改めてご紹介します。

 

PXEは、

・患者中心の医療って何だろう

・どうすれば選ばれる医療機関になるのか

・患者思いの医療者を増やすにはどうすればいいか

といった疑問や課題を解決できる知識と手段を身につけることができるPX研究会の認定資格です。

 

PXE取得のメリットは、次のようなものとなります。

・患者視点で客観的に所属組織を見つめ直すことができる

・PXや患者満足度を向上させるための課題と対応策を見出せる

・同じ課題意識を持った仲間とネットワークができ、お互いの事例から学び合える

 

PXEになるには、PX研究会の会員になっていただき養成講座の全課程を修了したうえで、認定試験に合格することが条件となります。養成講座は全5回、PXを体系的に学べるほかPX向上施策を考えたり、患者視点のコミュニケーション法を知ることができます。今年は第1回、第2回は東京駅周辺で、第3~5回はZoom(Web会議ソフト)によるオンラインでの開催となります。

第1期生の活躍については今後、当メールマガジンでも紹介していきたいと思います。概要と申し込みは下記リンクからお願いします。

Link:https://www.pxj.or.jp/pxe/

 

 

3. 今後の予定


PX研究会では2020年は勉強会を「PX寺子屋」と銘打ち、全国展開していく予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、すべてオンラインでの開催といたします。

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オンラインによる勉強会「第3回PX寺子屋」は、8月29日に開催します。内容など詳細は決まり次第、お知らせします。

 

8月29日(土) 13:00-14:00

PX概論など

 

※Zoomでの開催となります。参加者にはリンクをお知らせします。

※研究会会員は無料、会員外の方は有料(1000円、事前に参加費の振り込みをお願いします)。申し込みは下記リンクからお願いします。

Link: https://www.pxj.or.jp/events/

 

※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

編集部から


先日、ロンドン・ナショナル・ギャラリー展を観に行きました。三密回避のため完全予約制で、混雑していないなかで名画とじっくり向き合える至福のひとときでした。ロンドンにも足を運びたいですが、いつになることでしょうか……。(F)