日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.126

1.2021年CXトレンド
2.PXとCOVID-19関連のウェビナー
3. 今後の予定

1.2021年CXトレンド


2020年も残すところ、3カ月を切りました。1年はあっという間ですね。今年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行により、私たちを取り巻く環境は大きく変わっています。

CX(Customer eXperience;顧客経験価値)向上に取り組む企業リーダーによるグローバルコミュニティサイトでは、COVID-19を受けたCXの来年のトレンドを紹介しています。企業は顧客満足度を高め、選ばれ続けることで結果として利益向上につながります。その指標として重視されているのがCXであり、患者が消費者としての考えを自身の医療体験にも反映させるようになってきていることから、PXを考えるうえでも参考になります。2021年のPXについても言及しています。

 

1.CXは消費者にとってこれまで以上に重要

ウィズコロナで消費者の59%は、サービスを受けたりものを購入する際にCXを重視しています。言い換えると、CXによって2021年の消費が決定づけられます。

2.CXは未だ不可解なもの

ビジネスにおいてCXが何を意味するのか、すべての業界においていかに変革的なものなのかを実証する必要があります。単なるカスタマーサービスをCXだと言っている人が多く、CXの文化や背景、プロセスの理解、構築なしでスタッフにトレーニングできるという認識です。米ニューヨークにあるコンサルティング会社の調査では、回答者の53%が組織内にCXリーダーがおらず、CXリーダーがいてもCEOの直下に配置しているのは23%だけでした。

3.CX戦略は2021年の成功を意味する

2019年の時点で、顧客の78%がコンテクスト(会話の流れや前後の状況を読み取り、物事の判断材料とする)に応じて異なるチャネルを使用することを好んでいました。2021年においては、組織はシームレスなジャーニー(顧客が商品・サービスを知ってから最終的に購買に至るまでのプロセス)を構築するためのコンテクストをもっておく必要があります。

4.米国政府も2021年のCXトレンドに飛びつく

米国政府は国民の経験価値向上に取り組んでいます。たとえば、USCIS(米国市民権移民局)の幹部はホスピタリティのトレーニングを受けています。また国内のパブリック・エクスペリエンス(行政機関が住民や地域視点でエクスペリエンスを設計すること)を向上させるべく、25の機関にCXを義務付けました。

5.非接触型およびセルフサービス

ウィズコロナにおいてホテルが非接触型決済を提供する場合、顧客の35%はホテルの滞在をより快適にするとしています。またホテルの幹部の73%が、ゲストのエクスペリエンスにおいてセルフサービスがますます重要になるという考えに同意しています。

6.これからは遠隔医療の時代

デジタルヘルスは今年加速しましたが、遠隔医療は2025年までに医療全体の25%を占めるようになるといいます。これはアメリカのGDPの18%を占めます。患者の60%がオンラインで予約したいと考えており、質の高いCXが患者のロイヤルティを高めます。オンラインではシームレスなPXを生み出すために必要な作業が発生します。そしてアウトカムベースのモデル設計を行う必要があります。小売業と同様、ヘルスケアではデザインと、デジタルチャンネルでスタートしたものを物理的なもの(対面での診療など)にシームレスに移行することでPXを高めるものに投資しなければなりません。2021年には患者と医師のため、人を中心としたデザイン設計を行うPXへの投資が増えるでしょう。

7.ウェブサイトが復活してにぎわう

ウェブサイトが戻ってきました。顧客は自分が好きなブランドを信頼し続けるために、ウェブでの情報を必要としています。医療提供者、小売業者などすべてが取り組むべきであり、2021年はウェブのエクスペリエンスが顧客ロイヤルティの推進力となります。

8.CXは業務と関連づいている

顧客は企業などが本当に共感的なのかどうかを見ています。高級ホテルやスパの客はスタッフが雇い主からどのように扱われているかを確認しています。人への共感といった企業文化がない場合は、組織体制を再検討してください。顧客の71%は今年、より多くのケアや共感を示した企業がさらに多くのロイヤルティを獲得したと考えています。

 

Link:https://customerthink.com/2021-customer-experience-trends-and-tactics/

 

 

2.PXとCOVID-19関連のウェビナー


COVID-19前後でのPXをテーマにしたウェビナーが10月15日18~19時(アメリカ東部時間)に開催されます。クリーブランドクリニックAssociate Chief Experience Officer のJudith Toski WelshさんとメイヨークリニックMBA Assistant ProfessorのRahul Kashyapさんがスピーカーとして登場します。

救急医でもあるJudithさんは臨床医のコミュニケーションを改善し、ケアワーカーのチーム力を強化することでPXや医療の質、安全性の改善に取り組んでいます。Rahulさんは救命救急医学を専門とする医師であり、メイヨークリニックで麻酔科の学位を取得しています。医療の質向上、リーダーシップに関して受賞歴があります。

 

COVID-19のパンデミックは今後数年間でPXを変えるといわれています。このウェビナーでは、COVID-19パンデミックが患者の経験に及ぼす永続的な影響についての洞察を得ることと、2021年以降のPX向上のための戦略を立てることをゴールとしています。

Judithさんは、「COVID-19によって処置の中止や面会の変更など多くの医療行為に突然の変更が余儀なくされました。Office of Patient Experienceでは、共感、標準化されたコミュニケーション、テクノロジーの組み合わせでCOVID-19によって生じたギャップを埋めることで、これらの急速な変更への対応をするチームをサポートしました。このプレゼンテーションでは、私たちがどのように患者との約束を守り、より良い体験への新しい道を築いたかについて説明します」と話しています。

ウェビナーの概要と申し込みは下記リンクからできます。

Link:https://www.epic-health.eu/webinar/

 

 

3. 今後の予定


PX研究会では2020年は勉強会を「PX寺子屋」と銘打ち、全国展開していく予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、すべてオンラインでの開催といたします。「第4回PX寺子屋」は、日程など詳細が決まり次第、掲載します。

 

***********

12月5日(土)に「第3回PXフォーラム~PXとEXから考えるWell-being」を開催します。招待講演では、Caring Accent主宰でCertified Patient Experience Professionalの近本洋介さんがアメリカの病院事情やPXとEXの取り組みについて話します。今年はZoom(Web会議ソフト)での開催となります。フォーラムの概要および申し込みは下記リンクからできます。

Link:https://peatix.com/event/1622615

 

今年も「PXアワード2020」を開催します。「こんな医療機関がもっとあったらいいのに!」とほかの人に勧めたい医療機関に投票してください。結果は、第3回PXフォーラムで発表。投票は下記リンクからぜひお願いします。

Link:https://www.pxj.or.jp/pxaward/

 

 

***********

※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

編集部から


少し前にとてもおいしいフォカッチャを食べました。たっぷりのオリーブオイルとフェンネルの甘い香りと苦みが、一口ごとにじんわりと広がりました。またもや、予想外価値との出合いでした。(F)