日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.128

1.米国の最新PXレポート
2.COVID-19の看護師支援ツール
3. 今後の予定

1.米国の最新PXレポート


米国のPX推進団体であるThe Beryl Instituteと世界第3位のグローバル・マーケティング・リサーチ会社のIPSOSは10月に、PX動向レポートを公開しました。米国におけるPXに関する消費者の視点を取り上げています。

 

米国の医療におけるPXの理解を高めるために実施しているこの追跡調査は2020年1月からスタート。3カ月ごとにレポートが公開されていて、今回で第4回となります。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、消費者のヘルスケアへのエンゲージメントは減少しました。ただ、2020年6月と比較すると、主治医と会った人は12%増加し、エンゲージメントが回復傾向にあることが示されています。

 

追跡調査では、5つの主要な設問があります。

1.米国全体の医療制度についてどう考えていますか? 医療の質を評価しますか?

2.次のリスト(医療費の自己負担、手ごろな保険オプション、処方薬の支払い、病院が提供するケアの質、慢性疾患へのケアなど)のうち、あなたにとってもっとも重要なヘルスケアの問題は何ですか?

3.過去1年のPXと、これまでのPXについての評価を考えましょう

4.あなたが高いPXを得ることはどれほど重要ですか?

5.高いPXを得ることがあなたにとってなぜ重要なのでしょうか?

 

主な調査結果は以下になります。

・消費者は医療プロバイダーとのエンゲージメントを再開。3カ月前と比べて主治医(+12%)、病院(+2%)、ラボ(+10%)への訪問が増えている。

・全体的な医療の質(55%)、自身のケア体験(74%)については引き続きポジティブに捉えている。

・消費者は患者としてよいPXを得ることが重要だと言い続けており、96%の人がPXは「非常に重要」または「極めて重要」と回答。

・すぐれたPXを消費者が重要だとする理由として挙げられた上位2つは、「健康とwell-beingは患者にとって重要」(70%)、「身体的ニーズを真剣に受け止めてもらえていることがわかる」(61%)。

 

PX動向レポートの第1回では、ほとんどの患者は医療機関にかかった際の自身のPXについては肯定的だったものの、米国の医療システム全体の質についてはあまり肯定的でなかったことが報告されています。第1~4回までのレポートは下記リンクから無料でダウンロードできます(名前や所属、メールアドレスなどの記載が必要)。

Link:https://www.theberylinstitute.org/page/PXPULSE

 

 

2.COVID-19の看護師支援ツール


12月5日開催の「第3回PXフォーラム~PXとEXから考えるWell-being」で招待講演をしてくださる、Caring Accent主宰の近本洋介さんがこのほど、医学書院の『看護管理』編集室と共同で、小冊子「COVID-19緊急事態下における看護師支援ツール」を作成しました。日本や米国の看護現場で実際に経験した困難な状況を挙げ、それぞれの状況で役に立ったコミュニケーションの例などが紹介されている、実践的な内容となっています。

 

パート1は「難しい状況で役立つ効果的なコミュニケーション」。コミュニケーションの4つの習慣として、「傾聴」「共感」「説明」「善後策の探索」をそれぞれ工夫すること、患者や家族に経験してもらいたいゴールを挙げています。それらを踏まえたうえで、「COVID-19陽性の入院患者から『どうして家族に付き添ってもらえないんですか』と責められたとき」「医療機関を訪れた患者や家族から、『この病院は感染防止の面で大丈夫なのか?』と懐疑的に聞かれたとき」といったエクササイズに取り組むことで、自分らしい伝え方を考えることができます。

パート2では、「看護師のためのセルフ・ケアアイデア集」として、看護スタッフ自身の健康、well-beingや仕事のやりがいにつながるエクササイズを紹介。呼吸を軸とするストレス解消法、自分への思いやりを促すアプローチなど看護師に限らず、日ごろから知っておきたいセルフケアの知識をわかりやすく説明しています。

 

 

看護師、医療スタッフには無料で提供しています。下記リンクからダウンロード、プリントしてご使用ください。

Link:https://drive.google.com/file/d/13inhOuepiwyq40qp2kIF1BGmPZ7PBHLw/view

 

 

3. 今後の予定


PX研究会では2020年は勉強会を「PX寺子屋」と銘打ち、全国展開していく予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、すべてオンラインでの開催といたします。「第4回PX寺子屋」は、日程など詳細が決まり次第、掲載します。

 

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12月5日(土)に「第3回PXフォーラム~PXとEXから考えるWell-being」を開催します。

招待講演では、米ニューヨーク市のマウントサイナイ病院で医師向けにPX向上のためのコミュニケーショントレーニングを担当していた、Caring Accent主宰でCertified Patient Experience Professionalの近本洋介さんがアメリカの病院事情やPXとEXの取り組みについて話します。

今年はZoom(Web会議ソフト)での開催となります。研究会員は無料です。フォーラムの概要および申し込みは下記リンクからできます。

Link:https://peatix.com/event/1622615

 

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今年も「PXアワード2020」を開催します。「こんな医療機関がもっとあったらいいのに!」とほかの人に勧めたい医療機関に投票してください。結果は、第3回PXフォーラムで発表。投票は下記リンクからぜひお願いします。

Link:https://www.pxj.or.jp/pxaward/

 

 

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※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

編集部から


海や川、湖など水のある風景が昔から好きです。オフィス近くの川沿いで、コーヒーを飲みながらきらきらと光る水面を眺めたら疲れも軽減。気分転換できるとっておきの方法をご存じの方、ぜひ教えてください!(F)