1.VRでPX改善の可能性
2.愛情表現でPXが変わる⁉︎
3.今後の予定
1.VRでPX改善の可能性
米国ミネソタ州にある総合病院、メイヨー・クリニックは臨床実践、教育、研究分野でのイノベーションに取り組んでいます。VRを用いた新しい研究では高齢者においてもVRが、初めて開胸手術を受ける際の術前の不安を軽減する効果的なツールとなり得るとしています。
同クリニックで循環器疾患を研究するJordan Millerさんは、「この研究はPX(Patient eXperience;患者経験価値)の改善と、術後の回復を最適化するためにVRを利用する可能性について、大きな前進を見せた」しています。同クリニックの心臓外科医であるJoseph DearaniさんとJohn Stulaさんは、「現在、心臓手術後に音楽療法やマッサージ療法を提供しています。強い不安が術後の回復に悪影響を与えることを知っているからです。私たちのチームは臨床結果への影響をさらに評価するために、手術の全過程を通じて、いつでもどこでも、病院内外で使用できるVRのより広範な導入を検討しています」と話すなど、心臓手術の前後における患者の感情状態の重要性を強調しています。
この研究には、開胸手術を予定している100人の患者が参加。患者はモニターを装着してバイタルサインを記録し、手術当日にVR介入の前後に不安テストを受けました。このテストでは、患者に現在の状態を評価するよう求め、穏やかな気持ちから動揺する気持ちまで、20の質問に関連する感情について回答してもらいました。参加者は、それぞれの感情を1から4のスケールで評価しました。1は「まったくそう思わない」、4は「非常にそう思う」です。
参加者の半数はタブレットを、残りの半数は没入型VRゴーグルを割り当てられ、手術前の待合室で待機している間、使用しました。VRでは、四季の移り変わりとともに変化する木々や水辺を眺めながら、呼吸法のガイド付きで10分間の自然体験をしてもらいました。タブレットでは、VRで患者が体験した内容のビデオを再生し、没入型VRヘッドセットを使用した人々は、周囲を見渡して環境の特徴を特定することができました。どちらの介入も参加者の脈拍を減少させましたが、呼吸数や酸素レベルには影響を与えませんでした。
総合的な不安スコアは、タブレットで平均2ポイント、VRゴーグルで同2.9ポイント減少。さらにタブレットとVRゴーグルを使用した不安に関する質問のうち、最大7つの質問でスコアが大幅に改善したと指摘しています。これらの回答のいくつかは、否定的な感情からより前向きな見通しへと変化したことを具体的に表しています。VRは運動機能訓練などで活用されていますが、PX向上にもつながるかもしれません。
全文は下記リンクからご一読ください。
Link:https://newsnetwork.mayoclinic.org/discussion/mayo-clinic-researchers-and-surgeons-test-virtual-reality-to-calm-presurgery-jitters/
2. 愛情表現でPXが変わる⁉︎
英国ロンドンの歯科医Manrina Rhodeさんは5つの愛情表現(肯定的な言葉、有意義な時間、贈り物を受け取る、身体的な接触、奉仕する)を理解することでケアやPX、満足度全体をどう向上させられるかについて言及しています。
- 肯定的な言葉:患者を励まし安心させるためにポジティブな強化を利用する方法を学び、患者の口腔衛生と歯科医の専門知識に対する信頼を築く
- 有意義な時間:患者に十分な注意を払うことで、患者が大切にされ、話を聞いてもらえていると感じられるようにするテクニックを学ぶ
- 贈り物を受け取る:歯磨き粉やブランド品などのちょっとした心づくしが、患者との関係を深めるうえでどのような影響を与えるかを理解する
- 身体的な接触:同意を得たうえで肩に手を置くなど、シンプルで安心感を与える接触が、臨床現場でどのように安心感を与え、不安を和らげるかを学ぶ
- 奉仕する:患者の希望する予約時間やコーヒーの注文など、個人的な詳細を覚えておくことが、いかに長続きする好印象を与えるかについての洞察を得る
「患者の愛情表現を認識し、それに対応することでPXは変化し、信頼が生まれ、長期的な関係が育まれ流」とManrina さんは指摘します。下記リンクにある動画では、通常は個人的な人間関係に関連付けられる愛情表現の概念が、歯科医と患者の関係をどのように強化し、信頼とより良いコミュニケーションを築くことができるかについて掘り下げています。歯科だけでなく、一般診療や在宅医療などでも参考にできると思います。ハッピーバレンタイン!
Link:https://dentistry.co.uk/2025/02/14/how-can-love-languages-transform-a-patients-experience/
3. 今後の予定
※【お知らせ】日本PX研究会について※
年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。
編集部から
最近チャーハンにはまっています。近所の町中華で食べた海老チャーハン。まさかの海老増しができて予想外価値でした!(F)
