日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol. 36

1. 「第1回Patient Experience Asia Summit」開催
2.〔連載〕「PXとわたし」第3回 出江紳一さん
3. 今後の予定

1.「第1回Patient Experience Asia Summit」開催


12月5~6日の2日間、シンガポールにて「第1回Patient Experience Asia Summit」が開催されました。サミットに参加した、日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会の曽我香織代表理事からの現地報告です。今回はサミットの概要についてお伝えします。

サミットの参加者は演者を含めて約40人。米クリーブランドで開催しているPXサミットの50分の1程度で、会場はホテルの会議室でした。

サミットの当日の様子です

アジアからの参加者が主であり、内訳はシンガポール、中国(香港、北京)、タイ、インド、日本、コロンビアといった国々でした。日本からは曽我代表理事を含めて3人の参加となりました。参加者の属性は製薬企業社員が最も多く、そのほかには医師、看護師、医療事務、ヘルスケア関連企業社員などでした。

シンガポール国立病院やインドのアポロ病院からの発表のほか、MSD株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社、サノフィ株式会社など、複数の製薬企業からの発表もありました。

インド・アポロ病院の Santosh Marathe COO

 

サミットのトピックは、「PXとは何か」「PX関連の部門は病院に必要か」といった根本的な問いかけから始まっていました。初めての開催ということもあり、議論のスタート地点はクリーブランドのPXサミットとは異なっていました(アメリカでは、PXとは何かといった議論はすでに終了)。

シンガポールや香港などにおいて、民間病院は公的病院に比べて医療費が非常に高いため患者からの期待も高く、従ってPXが重要視されています。特にシンガポールでは最近PXがホットトピックになっているようです。

PXサーベイに関して、シンガポールでは国統一の基準はないものの、HCAHPSを採用してしている病院が複数ありました。シンガポールのある病院では、サーベイの設問の中でも特に「自分の病院を『絶対に』周りに勧める」と回答した割合が80%以上を目標としており、経年比較をしている事例が報告されていました。

日本でもシンガポールに負けないように、PXを普及させていきたいですね。

次回はサミットで印象に残った講演についてお伝えします。

 

2.〔連載〕「PXとわたし」第3回 出江紳一さん


連載3回目は、日本PX研究会理事で、東北大学大学院医工学研究科教授の出江紳一さんです。

リハビリテーション医、コーチとしてPXを捉えてくださり、その視点はPX研究会が今後発展していくうえで大事なことだと思います。

 

☆PX研究会との出合いと、勉強会に参加して思うこと

メンバーの気合いを感じます。それぞれの職場で切実な課題をもって働いていらっしゃると推察します。それが何かということに興味があります。

 

☆わたしのPX体験(自院での取り組み、患者としての経験など)

16年間、定期的に歯科で検診を受けています。
最近、代替わりで設備がリニューアルされて、眼鏡を眼鏡ケースに差し込むのではなく、テーブルのような場所に置けるようになって良かったです。椅子も床に足がつく高さで、処置のときに持ち上がるようになりました。生活に近い、自然な感じが良いと思います。

 

☆ PXを学ぶ前後で変わった点

医療の改善ポイントは、大上段に構えた患者安全や、指導に備えた保険請求のありかただけではないと気づきました。

 

☆PXにかかわって良かったこと・得したこと

医療の質を考えるときの視野が広がったと思います。

 

PXとは?

患者の潜在ニーズに気づくためのツール

 

☆自己紹介:

東北大学病院に勤務するリハビリテーション科医。関心は回復の原理、患者さんとのコミュニケーション、多職種協働。東北大学の学部と大学院の学生、教員、医療関係者に広くコーチングを教えています。よろしければ http://coach-reha.umin.jp/ の研修会にご参加下さい。

 

 

3. 今後の予定


今年最後の勉強会は、いよいよ今週末の開催となります。2018年の振り返り、来年に向けての活動報告などを行いますので、PX研究会に興味をお持ちの方はふるってご参加ください。勉強会・忘年会は研究会員以外の方も参加可能、エントリーお待ちしています。

 

第24回 PX研究会 勉強会

12月15日(土)15:00-17:00

※開催時間が通常と異なりますのでご注意ください。また、忘年会の参加を希望される場合はその旨ご連絡ください。

場所:株式会社イトーキ SYNQA 2F

 

「PXフォーラム2018のアンケート結果」  九州医療センター 小児外科医長 西本 祐子
「PXサーベイのiPad入力システムについて」岩井医療財団システム課・広報課課長 古川 幸治
「2019年日本PX研究会の展望」      日本PX研究会 代表理事 曽我 香織
「1年の振り返り」            公立昭和病院 事務局総務課担当課長 笹野  孝

 

17:00-忘年会

会費:勉強会参加費 1000円(研究会員は無料)
忘年会参加費 4500円

 

 

※【お知らせ】日本PX研究会について※
年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

編集部から


甘いものよりお酒!なので普段ケーキはほぼ食べませんが、アーティスティックなクリスマスケーキに心動かされてしまいました。写真を眺めるだけで満たされます。夢を与えられる仕事のすばらしさを改めて思いました。(F) https://numero.jp/news-20181013-christmascake2018/