1.コロナ禍での患者中心性
2.今週はPX Week!
3. 今後の予定
※来週5月5日(木)の配信はお休みします。次回は5月12日(木)となります。
1.コロナ禍での患者中心性
米国のPX推進団体「The Beryl Institute」が発行する、査読付きのオープンジャーナルであるPXJ(Patient Experience Journal)の論文を紹介します。テーマは、「COVID-19パンデミック下で患者エンゲージメントを高めるための患者中心性の文化とその影響」。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とPX(Patient eXperience;患者経験価値)との関連について言及しています。
患者エンゲージメントを医療の「聖杯」(人々が探し求めている、これ以上ない目標)とみなす人がいます。なぜなら、医療システムの問題への対処方法に革命をもたらす可能性があるからです。
これまで世界中で患者中心性の文化を普及しようとさまざまな努力が試みられてきました。それにより、患者のニーズと希望に基づいた医療サービスが行われるようになりました。近年、医療サービスを提供する組織は、調査や医療の質の改善を含む幅広い活動に、積極的に患者を関与させています。患者の自尊心と信頼の向上、コストパフォーマンスの向上など、患者エンゲージメントには多くの倫理規範と経済的、社会的な利益がありますが、これらがすべての医療サービス提供者や医療現場で認知されているわけではありません。
この分析では、COVID-19パンデミックの状況下で、3つの「I」フレームワーク(アイデア(idea)、利益(interest)、制度(institution))を使い、患者中心性の医療文化を支持する2つの見識(倫理規範と経済的、社会的利益)と、反対する1つの見識(患者エンゲージメントに対する否定的な態度と認識)について、触れています。そして患者エンゲージメントに対するこれら3つの見識の関連性について説明します。
1つめの見識では、納税者、利用者、および医療サービスの消費者としての役割を担うための患者エンゲージメントの動きの強化、患者への権力移譲と説明責任を補強する倫理規範を特定します。2つめの見識では、患者エンゲージメントに関連する経済的および社会的利益を説明します。そして、なぜこれらの利益が一部の状況でのみで観察され、他の状況では観察されなかったのかも説明しています。3つめの反対する見識では、医療専門家が患者と患者エンゲージメントに対して抱く可能性のある否定的な態度と認識について検証します。
患者中心性の医療文化の構築には倫理規範や、社会的、経済的利益がかかわるといった有力な論拠があります。その実現に向けて医療機関は、①患者に与えられてきたとされる表面上の主導権を特定、評価および解決するといった患者エンゲージメントの倫理規範を内在化させる、②患者に応じたサポート、情報、リソースおよびガイダンス(指導)を行う、③患者を含む多様なステークホルダーと協力することにより、積極的に環境から学ぶ――といったことが推奨されています。
患者中心の文化に反対する見解を特定して対処し、患者中心の文化を支持する特権を与えるための多大な努力があれば、患者エンゲージメントは医療の「聖杯」および次の「大ヒット薬」になる可能性があります。
全文は下記リンクからダウンロードして読むことができます。
Link:https://pxjournal.org/journal/vol7/iss3/2/
2. 今週はPX Week!
The Beryl Instituteでは毎年4月の最終週を「PX Week」とし、日々の患者のPXに影響を与える医療スタッフを労うといった趣旨でイベントを行っています。今年は25~29日、明日までです。日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会でも来年は何かイベントを企画したいです。
The Beryl InstituteではPXに関するイベントを医療施設で行うためのアイデアや無料リソースを提供しています。キックオフイベント用の動画「I am the Patient Experience」やPX向上に関する教育リソース、スタッフを表彰したりする昼食会の開催などです。
そして特に、次のような人たちにフォーカスしたイベントを行うことを勧めています。
・病院管理者
CEO、病院管理者、その他の管理スタッフに活動や成果を強調する絶好の機会です。自施設だけでなく、他の場所で行われているPXの改善の取り組みに対する認識を高める機会を提供しましょう。
・PX担当者
PXリーダーやPX担当者が日々行っている仕事に注目します。そのすべての仕事は評価に値します。PX Weekを利用して、施設内のPX改善に対する彼らの貢献をどれほど評価しているかを伝え、優れた仕事をしている従業員にスポットライトを当てましょう。
・医師と看護師
質の高いPXを提供するためには、医師や看護師との良好なコミュニケーションと協力が不可欠です。PX向上に貢献したスタッフを表彰することで、主要な臨床スタッフにそのサポートへの感謝の気持ちを伝えましょう。
・補助的な部門のスタッフ
PXに影響を与えない部門は一つもありません。この機会に、これらの部門のサポートと貢献に感謝の意を表しましょう。
・患者
患者に質の高い医療を提供するだけでなく、患者のために行っている仕事について知ってもらいましょう。
・地域社会
この週を利用して、PXについての取り組みを地域社会で情報を共有し、認識を広めてください。
イベント情報は下記ページから見ることができます。
Link:https://www.theberylinstitute.org/page/PXWEEKCELEBRATION21
PXトリビア、ぜひチャレンジしてみてください。
Link:https://cdn.ymaws.com/www.theberylinstitute.org/resource/resmgr/px_week/c-i-care_pxtrivia.pdf
3. 今後の予定
PX研究会では医療機関や企業でPXを広めるエバンジェリストとして、PXE(Patient eXperience Expert)の認定を行っています。現在、2022年度の第4期生を募集中です。PXについて体系的に学べる内容となっており、多くの方のエントリーをお待ちしています。詳細と申し込みはリンクからお願いします。
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第9回PX寺子屋を、7月23日(土)12:30-13:30に開催します。PX概論のほか、病院でのPX向上の取り組み事例を紹介します。
「PX概論」
松下記念病院 看護師 小松 良平
「小松市民病院におけるPX向上推進WG立ち上げについて」
小松市民病院 看護副部長 湯野 智香子
研究会会員は無料、非会員の方は1000円です。
下記リンクから申し込みできます、奮ってご参加ください!
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※【お知らせ】日本PX研究会について※
年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。
編集部から
先日、GW前の超多忙期にフルマラソンを走りました。練習不足でしたが栄養補給ゼリーをお守りに、何とか完走。走り終わった時の達成感を味わうため、また走りたいと思います。(F)