日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.253

1.世界最高の病院を格付け
2.医療における共同デザイン
3.今後の予定

※配信が遅れましたことお詫び申しげます

1.世界最高の病院を格付け


米ニューズウィーク誌と世界最大の統計データプラットフォーム企業である独スタティスタはこのほど、世界の優れた病院を評価する「the World’s Best Hospitals 2023」を発表しました。さらに今年から、世界の病院の格付けを行うとしています。

ランキングは28カ国2300以上の病院を評価したもので、今回で5回目となります。今回から新たに採点モデルにPROMs(Patient Reported Outcome Measures;患者報告アウトカム尺度)を加え、実施状況を調査しています。

この優れた病院の評価に、2023年からは新たにグローバル病院評価(Global Hospital Rating;GHR)という包括的な病院ベンチマークシステムを採用しています。格付けプロセスは、病院が提出しなければならない調査に基づいています。評価基準は次の5つのカテゴリーとなっています。PX(Patient eXperience;患者経験価値)も基準の1つに含まれます。

ケアの提供
ケアの適時性
PXと安全性
ITと医療技術
雇用者の魅力

調査の回答はスタティスタ・チームによって評価。基準を満たした病院は、5つのカテゴリーにおけるパフォーマンスのレベルに応じて、1つ星から5つ星の間で評価されます。格付けされた病院はすべて、Statistaの格付けプラットフォームとNewsweek.comで紹介されます。

病院はGHRに参加することで、自院の強みと改善点を明らかにし、自院が満たす質の基準を患者や潜在的な人材に示すことができるとしています。具体的なメリットとして、以下が挙げられています。

国内および国際的な評価の向上
信頼できる情報源からの第三者評価
新たな人材の確保
患者の信頼を高める
簡単な3ステップ
登録フォームに入力
調査を通じてデータを報告する
病院の評価結果を受け取る

GHRは2~3年間有効で、将来の評価によって更新することができます。世界のすべての一般病院が参加可能で、2023年末までの導入期間中は無料です(その後475ユーロの申請料が発生)。ニューズウィークとスタティスタは「この研究の目的は、国を超えて病院の評判と実績をデータに基づいて比較することです。自分自身や大切な人のために最良の治療を求める患者や家族、そして同業他社をベンチマークとする病院にとって、これが役立つことを願っています」とコメントしています。

「the World’s Best Hospitals 2023」は、1位はメイヨ―クリニック、2位クリーブランドクリニック(米国)、3位マサチューセッツ総合病院、4位ジョンズ・ホプキンズ病院と米国の病院が占めており、5位にカナダのトロント総合病院がランクインしています。日本の病院は、17位の東京大学医学部附属病院がトップで、28位に聖路加国際病院、47位亀田総合病院、68位九州大学病院、73位国立国際医療研究センターが100位以内に名を連ねています。

格付け評価、ランキングの詳細は下記リンクからお願いします。

Link: https://r.statista.com/hospitalrating/registration/

Link: https://www.newsweek.com/rankings/worlds-best-hospitals-2023/united-states

2. 医療における共同デザイン


米国の多くの病院では、ケアの質や安全性向上のために患者・家族諮問委員会(PFAC;Patient and Family Advisory Council)を設置し、患者や家族が構成員として参加しています。しかし新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で病院への来院が難しくなったことから、活動が中断している状況です。PFACの再開、再起動について、教育者であり患者として医療専門家や研究者と共同デザインを行っているRosieさんの寄稿文を紹介します。

PFACの再建や再起動を始めるにあたり、考慮すべき重要な目的はいくつかあります。患者・家族アドバイザー(PFA; Patient and Family Advisor)の役割を新しい方法で検討する絶好の機会ですが、共同デザインに焦点を当てたいと思います。

医療における共同デザインは、医療スタッフと、患者、家族、介護者といった医療システムの利用経験を持つ個人が、新しいプロセスや手順の「設計者」と対等なパートナーシップを築くことを意味します。COVID-19後に再編成する際には、まず、医療組織全体でメンバーが共同設計や共同生産を行える場所を検討します。PFACに持ち込まれた問題をフィードバックをするには、月1回のミーティングに出席するだけでは不十分です。PFAが共同デザインや共同プロデュースに関与する最善の方法は、理事会からセキュリティ部門に至るまで、組織のあらゆる領域にPFAを組み込むことです。

さまざまな医療機関で複数の部署と仕事をしてきたPFAとして、私はこれが共同デザインや共同生産の唯一の方法だと断言できる。すべての患者と家族に変化をもたらすために、あなたのストーリーを活用する最良の方法です。私は、 “目的を持ったストーリーテリング “と呼んでいます。私は自分の物語りを質の向上を促し、研究を前進させ、測定データの活用を強化するために役立てています。PFAは新しいプロジェクトの最初から参加し、設計段階を通じて相談に乗るべきです。

医療機関がPFAを求めるときにPFAがすべき質問は、”現時点でPFAとして一緒に働ける分野や部署はどこか?”ということです。もしその質問に答えられないなら、PFACは共同デザインや共同制作の準備ができていないということかもしれません。

PFACを立ち上げ、再構築し、あるいは再始動する際に、PFAがどのように組織内の1つまたは複数の部署で共同デザインあるいは共同プロデュースできるかを考えます。PFAをさまざまな分野に組み込むことで、将来あなたの組織の門をくぐることになる多くの人々の経験結果が変わることが約束されます。患者の声に耳を傾ける組織であることは、患者や家族の生きた体験に意図的・計画的に耳を傾け、行動することを意味します。PFAが組織に情報を提供し、単なる支援にとどまらないとき、ケア体験の改善、変化、革新に最も有意義に貢献することができるのです。

全文は下記リンクからご一読ください。

Link: https://theberylinstitute.org/product/storytelling-with-a-purpose/

3. 今後の予定


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では第5期生のPXEの募集を開始しております。

2023年7月開講の全5回の養成講座では、PXの基本的な考え方からPXサーベイの実践、患者ジャーニーマップの作成、患者の思いを引き出すコミュニケーション法などを学ぶことができます。

患者視点の医療サービス提供を実現したい方であれば、医療者に限らず、どなたでも受験可能です。医療現場や職場でPXを向上させる旗振り役として、私たちと一緒に活動しませんか?

申し込みは本日締め切りです、下記リンクからお願いします。

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PX研究会では今年から新たにEX(Employee Experience;従業員経験価値)講座を開講します。

EXは医療現場で働く人が経験する、すべての体験を指します。EXを高めることで組織目的の達成のためのエンゲージメント向上、従業員のwell-being向上、患者へのよりよいPXにつながるとされています。実際に、海外の知見ではEXとPXの関連性が示されています。講座ではEXの定義、EXを高めるうえでどのような視点が重要なのか、医療期間でどのような取り組みができるか、そしてPXとの関連性について初学者向けに解説します。

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年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

編集部から


「少しぐらいメイクをしたら?」と友人に言われて初めてアイライナーというものを買いました。目がぱっちりして効果絶大です。別の友人の夫(40代)がメイクをしていると聞き、美意識を高く持たなければ……と今さらながら焦っています。(F)