1.“Meet My Loved One”プロジェクト
2.病院のEX調査
3. 今後の予定
1.“Meet My Loved One”プロジェクト
新形コロナウイルス感染症(COVID-19)では厳しい面会制限のなか、入院患者の孤独にいかに寄り添えばいいのかが医療者に問われています。アメリカの病院ではPXの取り組みとして、“Meet My Loved One”(私の愛する人に会おう)というプロジェクトが多くの病院に広がっています。
“Meet My Loved One”はアラバマ大学バーミンガム校(UAB)のPCCU(Post Critical Care Unit;集中治療室)チームが考案したものです。医療機関でのPX向上をサポートしているPress Ganey社の「2020 Leading Innovator」に選ばれています。
病院のPX担当部門のスタッフは毎日COVID-19患者の緊急連絡先に電話し、患者に関する多くの情報を得ます。情報はフォームに記入し、ベッドサイドのスタッフが共有することで患者家族が大事に考えている患者の生活的側面やケアのヒントを得ることができます。
フォームはラミネート加工して病室のドアに掛けておき、スタッフが入室する際に確認できるようにします。患者とのコミュニケーションが図れないなか、基本的なケアをスムーズに行うことができるだけでなく、愛する人とつながりを持てることで家族に安心をもたらします。
“Meet My Loved One”については、UABのプロトコール(実施計画書)を参照ください。
Link:https://www.uab.edu/medicine/palliativecare/images/Meet_My_Loved_One_-_protocol.pdf
2. 病院のEX調査
日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では「EX(Employee eXperience;従業員満足度)なくしてPXなし」として、PXとの関連が高いとされるEXにも注目しています。昨年12月開催の第3回PXフォーラムも「PXとEXから考えるWell-being」をテーマに、EX関連の演題を盛り込みました(第4回PXフォーラムは2021年12月4日開催です。詳細は決まり次第、メールマガジン等で追ってお知らせします)。
医療機関でEX、PX向上に取り組む際にポイントとなるのはトップの意思決定です。東京都が病院トップ(院長)を対象にしたEX関連の調査では、9割以上が「優秀な人材の確保・定着や医療の質向上には勤務環境の改善が重要」と答えています。
調査は2017年1月に公表されたもので、東京都内の全病院を対象に実施。301病院からの回答をもとにしています(回答率46.6%)。①医療勤務環境改善に関する基本的な考え方②スタッフの働き方・休み方への関与③スタッフの健康支援④働きやすさへの理解度⑤働きがいのある組織づくり-ーの5区分17項目の質問を設けています。
EXを重視する理由としては先の2つのほか、モチベーション向上、院長の責務、患者満足度向上を挙げていました。ほとんどの院長が勤務環境の改善が重要と答えているなか、「すでに取り組んでいる」のは200床以上で77.6%、200床未満で60%。「これから取り組む予定」は200床以上で19.8%、200床未満で28.1%となっています。職員満足度調査を行い、全職員および幹部職員に公表しているのは200床以上で60.3%、200床未満で40.5%と病床規模で大きな差が生じていることがわかります。
医療機関では2024年に向けて医師の働き方改革が進められていることから、現在はもう少し改善していると推察できますが、患者満足度向上=PXを意識した取り組みには至っていないのではないでしょうか。PX研究会ではEXサーベイの開発などを含め、今後も活動していきます。
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EX関連のおすすめ本『The Employee Experience:How to Attract Talent, Retain Top Performers, and Drive Results』を紹介します。著者のDecisionWise社のCEO、Tracy Maylettさんらは2400万人の従業員調査をもとに最適解を示しています。EXがなぜ大切なのかなどEXの本質について解説していますが、EX=Experiences(経験)+Expectations(期待)+Perceptions(認知)という方程式でEXを定義づけしているのも興味深いです。日本語版はなく原書のみです。
3. 今後の予定
2021年も引き続き、PXを学べるオンライン勉強会「PX寺子屋」を開催します。現在、2月13日、5月15日、8月21日、11月13日の開催を予定しています。
第4回PX寺子屋
・日時:2021年2月13日(土)12:30-13:30
・テーマ:「PX概論」 医療法人社団松井病院 看護部長 菊池明美
「第1回 PX研Book Club」PX研究会メディア統括マネジャー 藤井弘子
*PXについての考えを深める本を読んで意見交換を行います。課題図書は、『対話する医療』(孫大輔著、さくら舎)です。基本的にはご一読のうえでご参加ください(読まずに参加いただいても本の内容がわかるようにします)。
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第3期PXE養成講座は2021年7月からスタートします。PX研究会ホームページで受講生の募集を始めました。概要と申し込みは下記リンクからお願いします。
Link:https://www.pxj.or.jp/pxe/
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※【お知らせ】日本PX研究会について※
年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。
編集部から
リビングに鮮魚店ができてすでに数カ月。狭いしボロボロになってきたので撤去したいのですが店主(猫)が立ち退きません。。(F)