日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.140

1.World’s Best Hospitals 2020
2.コロナ禍でPXを高めるコミュニケーション
3. 今後の予定

1.World’s Best Hospitals 2020


米国の週刊誌「Newsweek」は毎年、世界の優良な病院を評価したランキング「World’s Best Hospitals」を発表しています。その評価基準の1つが、PX(Patient eXperience;患者経験価値)です。世界的にも認められている評価・選考方法について紹介します。

 

World’s Best Hospitalsは人口や一定の病院データがあることを条件に、世界21カ国を対象としています。評価基準は次の3つです。

1.医療従事者からの評価:世界の7万人以上の医師、看護師などの医療従事者、病院管理者に対してオンライン調査を実施

2.PX:入院中のPS(patient Satisfaction;患者満足度)調査の結果

3.病院のKPI(Key Performance Indicators;重要業績評価指標):医療の質や衛生管理状況

この3つの基準をスコア化して評価しますが、PXとKPIは国によって調査方法が変わってくるため、同じ国でしか病院間のスコア比較はできなくなっています。たとえば、A国のA病院のスコアが90だからといって、B国のスコア87の病院より優れているとは限りません。スコアの計算法として標準では、1.は自国からの推薦が50%、他国からが5%、2.は15%、3.は30%の割合としています。

オンライン調査では診療の質とサービスを基準に自国、他国それぞれのいいと思う病院を挙げてもらいます。PXに関しては、「病院に対する一般的な満足度」「その病院を他者に薦めるか」「提供された医療への満足度」「サービスと組織への満足度」などがサーベイ項目です。しかし日本をはじめ、カナダやシンガポール、オーストラリアなどでは公的な情報源からデータを得られなかったため、スコアとしての比重は低くなっています。またKPIについても日本では情報が入手不能ということでスコアに含まれていません。つまり、日本の病院は1.の評価でほぼ決まってしまっているといえます。

2020年のランキングでは、日本の病院の1位は聖路加国際病院(全体16位)、2位東京大学附属病院(同18位)、3位京都大学附属病院(同45位)でした。もしPXがスコアにきちんと反映されれば、結果は変わってくるかもしれません。KPIを含めて、医療の質を測るデータの標準化が求められます。ちなみに全体では1~3位をアメリカの病院が占めていて、熱心にPXを推進しているクリーブランドクリニックは2位にランクインしています。ランキングの詳細とスコア化の方法論は、下記リンクから確認できます。

 

☆World’s Best Hospitals2020

Link:https://www.newsweek.com/best-hospitals-2020

☆Methodology

Link:https://d.newsweek.com/en/file/459936/wbh2020-methodology.pdf

 

 

2. コロナ禍でPXを高めるコミュニケーション


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックでは、患者と医療者がどうやって関係性を築いていくかは万国共通の課題です。医療機関のPX向上をサポートする米Press Ganey社は35万の患者コメントから約1万2000のCOVID-19関連コメントを抜き出し、分析。それによって患者ニーズの高まり、効果的なコミュニケーションプランとして以下に注目しています。

 

コメント分析によって浮かび上がってきたのは、患者の医療者に対する感謝の気持ちです。「スタッフは礼儀正しく、プロフェッショナルで親切。COVID-19に照らし合わせた対策を講じていました」といった声が患者から寄せられます。医療者と患者との友好関係を築くための、普遍的なコミュニケーションスキルとして次のものを挙げています。

・アイコンタクトをとってボディランゲージを理解する

・あなたとあなた自身の役割を紹介する

・心から安心させるメッセージを伝えて現在の状況を確認する

・常に心配ごとをシェアするように患者を促す

・あなたが提供するケアを語る

 

一方で、COVID-19関連の患者からの否定的なコメントは検査と治療の遅れに言及されていたものの、医療者がわかりやすいコミュニケーションを図ることで軽減されました。ケアの安全性にも強い関心を寄せていました。診療とプロセスにおける患者の信頼づくりには一貫してコンタクトを図ること、コミュニケーションの確認とコーチングを行うためのスキルを養っておく必要があるとしています。そして次のことを行います。

・手洗いや消毒などの症例と確認

・握手などの行為は危険なので思いとどまる

・提供するすべてのケアを説明する

 

不確実性が長く続くと予期せぬニーズや不安が生じます。COVID-19のパンデミックにより患者と医療者は、医療システムとリーダーに安心を求めるようになりました。そこでは患者家族とのコミットメント、リスクに重きを置くこと、コミュニケ―ションによりニーズを理解し、満たすことが不可欠だと指摘します。COVID-19による患者と家族との強い信頼のきずなづくりは、パンデミックをはるかに超えて広がっていくものとしています。

 

☆How COVID-19 Is Shaping the Patient Experience

Link:http://images.healthcare.pressganey.com/Web/PressGaneyAssociatesInc/%7Bc9fff1e9-07f6-4c62-a333-7890fbbb270e%7D_Press_Ganey_Analysis_Special_Report.pdf

 

 

3. 今後の予定


2021年も引き続き、PXを学べるオンライン勉強会「PX寺子屋」を開催します。現在、2月13日、5月15日、8月21日、11月13日の開催を予定しています。

 

第4回PX寺子屋

・日時:2021年2月13日(土)12:30-13:30

・テーマ:「PX概論」 医療法人社団松井病院 看護部長 菊池明美

「第1回 PX研Book Club」PX研究会メディア統括マネジャー 藤井弘子

*PXについての考えを深める本を読んで意見交換を行います。課題図書は、『対話する医療』(孫大輔著、さくら舎)です。基本的にはご一読のうえでご参加ください(読まずに参加いただいても本の内容がわかるようにします)。

 

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第3期PXE養成講座は2021年7月からスタートします。PX研究会ホームページで受講生の募集を始めました。概要と申し込みは下記リンクからお願いします。

Link:https://www.pxj.or.jp/pxe/

 

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※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

 

編集部から


先日、季節外れの小さな小さなおせちを食べました。毎年洋風のものしか食べていないので、見た目の美しさと細やかな仕事に感動しました。(F)