日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.177

1.第3期「PXE養成講座」修了
2.第7回PX寺子屋開催
3. 今後の予定

1.第3期「PXE養成講座」修了


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では11月13日(土)、第5回PXE養成講座をオンラインにて開催しました。この日で今年度の講座は修了となりました。

PXE(Patient eXperience Expert)の認定資格制度を開始して3年目となり、これまで100人に受講いただきました。患者視点の医療サービスの提供を実現する旗振り役、講演会などでPXを広める演者として医療現場で活躍いただける人材を育てることを目的としています。全5回の講座はPX(Patient eXperience;患者経験価値)を体系的に学べる内容となっています。

 

最終講座は「PXを高めるコミュニケーション」がテーマ。当研究会理事の安藤潔さんが講師を務めました。コミュニケーショントレーニングを受けた医師とそうでない医師を比較した場合、前者の診療を受けた患者のほうがPXが高い傾向があること、トレーニングを受けた医師は共感能力や自己効力感が高くなるとともに、燃え尽き症候群を防げたといったアメリカの研究報告を紹介。「PXを高めるコミュニケーションとは、『病いの物語り』を引き出す対話的コミュニケーション」だと説明しました。

「病いの物語り」は患者と医療者の関係性、対話から生み出されるものとしたうえで、対話と会話との違いについてペアワークを織り交ぜながら学びました。さらに、対話を進めるために有効なコミュニケーションスキルのなかから「傾聴」「承認」の2つを扱いました。第4回のペイシェント・ジャーニーマップに登場した患者のPXを高めるために、傾聴と承認を意識しながらどう対話していくかというエクササイズは大いに盛り上がりました。

 

第3期生は認定試験を受けていただき、12月の合格発表を経て、PXEとなります。PXE取得のメリットとして、▽PXを体系的に学べて現場に活かせる、▽患者満足度向上に必要なアクションが明確になる、▽患者視点の医療実現に関心のある仲間とのネットワークづくり――などがあります。来年度も第4期生を募集する予定です。興味がある方はぜひエントリーください!

第5回講座に参加してくださった3期生のみなさま、ありがとうございました!

 

 

2. 第7回PX寺子屋開催


11月13日(土)にはオンライン勉強会、「第7回PX寺子屋」も開催しました。

 

 

冒頭の「PX概論」は、原町赤十字病院の引田紅花さんが「急性期病院における日本版PXサーベイの実施と改善」について紹介しました。

従来の患者満足度調査では改善につながらないといった問題点から、引田さんは前任地で2016~2018年にかけてプレテストを含めて計4回、入院患者向けのPXサーベイを実施。患者さんの意思を尊重した治療、不安や悩みを傾聴する、退院時とその後の生活についての適切な情報提供によってPS(Patient Satisfaction;患者満足度)が上がることがサーベイ結果からわかったため、「インフォームドコンセントの実践」を行動目標に掲げ、医師向けコミュニケーション研修を行うといった対応をしました。引田さんは、「院内スタッフにPXを理解してもらうための説明が大事。PDCAを回していく仕組みをつくることが必要」などと話しました。

 

続いて幌西歯科院長の濱田浩美さんが、2021年8月に開催された日本摂食嚥下リハビリテーション学会にパネリストとして参加した内容を報告しました。

50代の口腔がん、80代の認知症患者に対し、ジャーニーマップを使って対話を重ねた事例について触れ、濱田さんは「コーチングで患者一人ひとりの価値観や背景を理解し、PXはその患者に対して適切な医療サービスを提供する病院・医療従事者をつくっていく手段。PXはサーベイを実施するだけでは測ることができない」などと総括しました。

今年のPX寺子屋は終了しました。来年の開催については詳細が決まり次第、当メールマガジンやホームページでお知らせします。当日の資料は、会員の方はメンバーページから閲覧可能です。

Link:https://www.pxj.or.jp/memberonly/

 

 

3. 今後の予定


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では「第4回PXフォーラム 変革から成熟へーWithコロナ時代のPXがもたらすものー」を12月4日に開催します。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって患者と医療者、入院患者と家族が直接的なコミュニケーションを図ることが難しくなっています。Withコロナを前提とした医療におけるPXを、参加者で考えていきたいと思います。

メインとなるパネルディスカッション「患者・住民に寄り添う墨田区モデル」は墨田区保健所所長の西塚至さんにプレゼンテーションしていただくなど、見どころ、聴きどころ満載です!

COVID-19の影響により、今年はオンラインのみでの開催です。PX研究会会員(法人・個人)は無料。会員外の方は第1・2部で3000円となります。第1部、第2部のみ(各1500円)参加も可能です。フォーラムの詳細と申し込みは下記リンクからお願いします。

https://www.pxj.or.jp/pxforum2021/

 

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※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

編集部から


東京もいよいよ朝晩寒くなってきました。猫の温もりがうれしい季節です(仲が悪い2匹が1枚の写真に納まった奇跡のショットです!)(F)