日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.111

1. 「第2回PX寺子屋」開催!
2.連載「Patient Stories」第47回 父へのプライスレスな贈りもの
3. 今後の予定

1.「第2回PX寺子屋」開催!


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会は6月20日、オンラインによる勉強会「第2回PX寺子屋」を開催しました。

 

今回は23人が参加しました。冒頭に実施したアンケートでは医療従事者の割合は65%、初参加は35%でした。初参加の方にPX(Patient eXperience;患者経験価値)を知っていただくためのPX概論は今回、北海道大学大学院歯学研究院・客員臨床歯科医師の濱田浩美さんが担当しました。

濱田さんはPXの理解を深めるため、CX(Customer eXperience;顧客経験価値)を取り上げました。宅配でうな重を注文した経験を、米経営コンサルタントであるカール・アルブレヒトの提唱した「価値の4段階」に落とし込んで説明しました。

価値の4段階では、基本価値→期待価値→願望価値→予想外価値と段階を追うごとに、CXが高くなっていくことを示しています。予想外価値の提供により、顧客に共感・愛着・信頼といった感情が生まれ、ロイヤルカスタマーとなります。うな重の注文では、うなぎがある→おいしい。肝吸、漬物が付いてくる→店員の応対がいい→25年前の注文を覚えてくれていた。他店の最上ランクのうな重と比べても遜色ない、といった価値が生まれたことを紹介しました。

 

続いて小松市民病院病院長の新多寿さんが、自院で開催したPX学習会の取り組みを話しました。

新多さんはPX研究会が認定する、医療現場でPX向上の推進役となるPXE(Patient eXperience Expert)の1期生です。学習会の開催を呼びかけたところ、看護部長をはじめ副部長3人、看護師長4人など看護師16人と看護補助者1人、医師は新多さん(当時は副院長)と診療部長の2人、薬剤師1人の計20人が集まりました。学習会では新多さんがPX概論を説明し、ディスカッションを通して参加者にPXを理解してもらったといいます。新多さんは、「医療職以外のスタッフを含めて、みんなでPXを高めるよう取り組まなければいい病院にはなりません。そのためには、『ありがとう』という感謝の気持ちをスタッフが持てる環境をつくり、EX(Employee eXperience;職員経験価値)を高めたい」と意気込みを語ってくださいました。

 

また、株式会社EPARK医療事業本部顧問の田口空一郎さんは、首都圏の11クリニックで実施したPX調査の概要を説明しました。調査は米の診療所向けサーベイであるCG-CAHPS(The Clinician and Group Consumer Assessment of Healthcare Providers and Systems)を翻訳し、「ケアへのアクセス」「医師のコミュニケーション」「事務職員の対応」などを評価軸としているとのことです。「クリニックには第三者評価がなく、口コミによって選ばれているのが現状。調査により新たなサービスの開発とクリニックの質改善につなげていきたい」と田口さん。調査結果が分析できた段階で改めて、話が聞ければと思います。

 

PX寺子屋は、Zoom(Web会議ソフト)を使って開催しております。当日の資料は、下記メンバーページに公開しています(会員のみ閲覧できます)。

PX研究会会員専用ページ

Link:https://www.pxj.or.jp/memberonly/

 

PXE(2期生募集)

Link:https://www.pxj.or.jp/pxe/

 

 

 

2.連載「Patient Stories」第47回 父へのプライスレスな贈りもの


先週末は父の日でしたが、何か贈りものをしましたか?第47回「Patient Stories」は、息子から腎臓を提供された父親が主人公です。腎臓を提供したいという息子と、気が進まない父親、それぞれの愛情が感じられるストーリーです。

 

☆ 「受け取るより与えたい」が父の性質

John Howeさんは74歳ですが、「腎臓はちょうど年齢の半分である」と冗談を言うのが好きです。しかし、それは冗談ではありません。2月20日に、37歳の息子であり牧師のNathan Howeさんからの腎臓の移植手術を受けました。クリーブランドクリニックの腎臓移植チームによる手術の成功で、Johnさんは移植を待機していた2年半の間の透析治療から通常の生活に戻りました。

「人生を変える素晴らしい贈りものを、Nathanは私に与えました。これは神の恵みのストーリーです。ジャーニーを通して感謝すべきことはたくさんあります」とJohnさんは振り返ります。

Johnさんのジャーニーは12年前に始まりました。背中の痛みに苦しんで受診し、検査の結果、多発性嚢胞腎(PKD)という遺伝性疾患と診断されました。PKDはしばしば腎機能の低下、機能不全を引き起こします。

Johnさんの腎機能はゆっくりと低下していきました。最終的に腹膜透析を受け始め、ドナー待機リストにも登録しました。亡くなったドナーからの腎臓提供を希望していたので、待ち時間が長くなると予想していました。米国臓器移植ネットワークの統計によると、腎移植の待機リストには約10万人が登録していて、多くは5年以上待ってから移植を受け、そのほかの人は移植を受けることなく亡くなっています。

Nathanさんは生きているドナーを検討するよう促し、自分の腎臓がマッチした場合には提供する意向を伝えましたが、Johnさんは聞きませんでした。

「父は、私やほかの誰かが腎臓を手放すことを心配していました。腎臓を提供することは、思うほど大変なことではないと父に理解してもらう必要がありました」

 

クリーブランドクリニックのリビングドナーチームが全米腎臓財団と共同で開催したセミナーの後、Johnさんの気持ちは変化しました。「生きているドナーからの提供を受けることを決心しましたが、Nathanからは提供を受けたくないと思っていました」

Nathanさんは父親に知らせずにドナー評価プロセスを受け、Johnさんとマッチしていることがわかりました。2019年のクリスマスの直前に、Johnさんによいニュースがあると伝え、「あなたが望むなら、私はあなたのドナーとなります」と言いました。

Johnさんはしぶしぶ移植に同意しました。Nathanさんは腹腔鏡下ドナー腎摘出術という、腎臓の回復が早い比較的低侵襲の手術を受けました。クリーブランドクリニックの腎臓移植プログラムの外科部長であるAlvin Weeさんは、「私も父親なので、Johnさんが息子からの人生の贈りものを受け取るのに気が進まないことがわかります。受け取るよりも常に与えたいのが父親の性質。しかし、私たちは子どもたちの愛を決して軽視すべきではなく、親のために子どもたちが喜んで行うことを大事にすべきです」と話します。

Nathanさんの腎臓が摘出され、Johnさんに移植する手術を行いましたが、病院への滞在はわずか2泊でした。手術後にJohnさんは、健康の改善にすぐに気づきました。Nathanさんは3週間もしないうちに牧師の仕事に戻り、誰もが生きた臓器提供者になることを考えることを強く主張しました。「私の経験から、私の健康への影響はごくわずかで、ほかの人の人生の本当によい影響を与えることができます」

 

出典:https://my.clevelandclinic.org/patient-stories/389-son-gives-dad-priceless-gift-a-healthy-kidney

 

 

3. 今後の予定


PX研究会では2020年は勉強会を「PX寺子屋」と銘打ち、全国展開していく予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、すべてオンラインでの開催といたします。次回開催日と内容などは決まり次第、メールマガジンやホームページでお知らせします。

 

※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

編集部から


前号に続いてフルーツですが、ふるさと納税のお礼でパッションフルーツが届きました。奄美では「時計草」と呼ばれています。3つにわかれた花の雌しべが時計の針のように見えるとのことです。(F)