日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.261

1.初のEX講座を開催
2.第3回PXE養成講座
3.今後の予定

1.初のEX講座を開催


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では9月7日、初めてのEX(Employee eXperience;従業員経験価値)講座を開催しました。医療機関でEXをいかに上げていくかを参加者間で意見交換しながら、好事例などの情報共有を図っていきたいと考えています。

EX講座は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが医療者の疲弊を招いた結果、燃え尽き症候群(バーンアウト)や離職者が増えたことが国内外問わず問題となっています。そういった医療現場の課題解決をPXの視点から考える場として、PX研究会では今年から講座を企画しました。

EXについて、PX研究会では「従業員がその組織で働くうえで得られる体験」と定義づけしています。「ゼロから学ぶEX講座」は、EXとは何なのかという根本的な問いから始まり、EXの可視化、改善策までを学ぶことができます。

今年の講座は、代表理事の曽我香織さん、理事の安藤潔さん、出江紳一さんが講師を務めています。

EXが必要とされている背景について、安藤さんは「人口減少、高齢化が進めば医療従事者にとっては患者・受診者が増える。また、若者の減少は医療機関で働く人材も減少し、そのようななかで効率的かつ質の高い医療が求められる。さらにCOVID-19による医療従事者の疲弊がある」と説明。欧米の病院でもコロナを機に、CX(Customer Experience;顧客経験価値)の考えが浸透してきた、と話しました。

出江さんは、EXの指標の可視化には4つのKPIを設定することを紹介。「この職場で働きたいか」「仕事への達成感」「適切な評価がされているか」が重要だと説明しました。

EX改善のパートを担当した曽我さんは、高い業績を出している企業のEXの差別化ポイントとして、▽リーダーシップ、▽企業競争力・社外評価、▽コミュニケーション、▽キャリア開発、▽顧客志向――の5つを挙げてました。そのうえで、一般企業におけるPX改善の取り組み例などに触れました。

EXを測定する尺度として、PX研究会ではエチオピアで医療機関向けに開発されたバージョンをベースに、日本の医療機関に合ったものを作成しました。講座では、その内容についても参加者間で議論しました。講座では5回のブレイクアウトを設けており、EXに関する問題意識などを共有することができました。講座終了後も、参加者間の情報共有や交流を続けていきたいと考えております。

EX講座は、9月19日(火)、27日(水)にも開催します。講座は全1回、2時間で修了となります。まだ申し込みを受けつけていますので、興味がある方はぜひ参加ください!

Link:https://www.pxj.or.jp/ex/

2. 第3回PXE養成講座


9月9日には、第3回PXE養成講座を開催しました。全5回講座の3回目は「PXサーベイの実践」をテーマに、病院でのPXサーベイの導入事例を紹介しました。

PXE(Patient eXperience Expert)は2019年、PX研究会が医療現場でPXを推進する人材育成のためにスタートしました。今年は5期生81人が参加しています。

導入事例として、昨年に続いて国立病院機構九州医療センター、稲波脊椎・関節病院、飯塚病院の3病院から報告がありました。

そのほかPXE2期生である都立広尾病院の小坂鎮太郎さんは、地域の多施設で PXE を持つ多職種スタッフで交流を図り、Patient journey mapping/Employee journey mapping(PJM/EJM)を作成した取り組みを紹介しました。医療従事者がEX、キャリア支援について考える機会となったほか、PJM/EJM をもとに、実現・持続可能性を考えた PX 改善のクリニカルパスを策定した結果、在宅復帰率向上につながった事例でした。

3. 今後の予定


11月18日12:30‐13:30、オンライン勉強会「第13回PX寺子屋」を開催します。

・「PX概論」 幌西歯科医院 院長 濱田 浩美

・ゲスト講師(テーマ等は決まり次第ホームページにUPします) 

研究会会員は無料、非会員は1000円です。申し込みは下記リンクからお願いします!

https://www.pxj.or.jp/events/

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※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

編集部から


先週末、硬いパンを食べたら仮歯が割れてしまいました。かかりつけの歯科医に駆け込みましたが、平日遅い時間だと次の予約が12月まで取れないと言われたところ、歯科の先生が「少し待てるなら今日中に作るよ~」と言ってくれました。技工所に出すものを診療の合間に自作してくれるなど、まさに予想外価値でした(写真は同じ時に食べた、軟らかいトウモロコシのムースです)。(F)