日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.160

1.第3期PXEスタート!
2.AIでPXを向上する
3. 今後の予定

1.第3期PXEスタート!


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では医療現場でPX(Patient eXperience;患者経験価値)を広める人材として、PXE(Patient eXperience Expert)の認定資格制度を2019年にスタートさせました。3期目となる今年のPXE養成講座の第1回を7月3日、オンラインで開催しました。

 

PXE取得のメリットとして、▽体系的に学べて現場で活かせる、▽患者満足度向上に必要なアクションが明確になる、▽患者視点の医療実現に関心のある仲間とのネットワークづくり――などが挙げられます。受講者は医師、看護師、薬剤師、セラピストなどの医療職や事務職、企業の方など多岐にわたっています。

PXEでは患者中心の医療、患者視点のサービスを提供するために必要な知識やノウハウを身につけるため、全5回の養成講座を開催しています。講座を通じて、PXとPS(Patient Satisfaction;患者満足度)との違いやPXの指標を測るサーベイと結果を受けた改善活動、PXを高めるコミュニケーション法を学ぶことができます。今年は7~11月にかけて開講し、修了後に認定試験を受けていただきます。

 

第1回のテーマは「PX概論」。前半のPXについては、当研究会理事の安藤潔さんが講師を務め、解説しました。

PXの背景や歴史、海外の状況などを紹介したほか、PXに取り組む理由として、①医療の質向上のためのプロセス指標である、②PSの向上、③クレーム減少、④医療経営指標の向上、⑤EX(Employee eXperience;従業員経験価値)の向上――を挙げました。

また、PXへの理解をより深めるためにCX(Customer eXperience;顧客経験価値)についての考え方を学びました。講師のPX研究会運営メンバーである能勢恵嗣さんは中華そば店を例に、CXをわかりやすく説明。一般企業でCXが注目される背景として、「供給過剰・競争激化の時代において、ロイヤルティやCS(Customer Satisfaction;顧客満足度)を高めることが企業戦略となっている」などとしました。

講座では講義に加えて、グループに分かれて複数のディスカッション、エクササイズを設定しました。「これまで一番心に残ったあなた、ご家族のPX」「病院で働くうえで、EX(Employee eXperience;従業員経験価値)を高める方法を考える」といったテーマのほか、「スターバックスに行ったときの『価値の4段階』を書き出す」では知られていないさまざまなサービスが挙げられるなど、大いに盛り上がりました。

次回、8月21日(土)はPXサーベイなど、病院での取り組み事例を取り上げます。

 

 

今年の3期生は過去最多の40人に申し込みいただき、トータルで100人となりました! 次回以降についても、当メールマガジンでご報告します。

Link:https://www.pxj.or.jp/pxe/

 

 

2. AIでPXを向上する


AI(人工知能)とその一分野である機械学習によって医療提供を最適化し、PXを向上させる取り組みが、サウジアラビアの病院で行われています。ITを通じて医療界の方向性や技術の向上を目指す組織であるHIMSS(The Health Care Information and Management System Society) の医療ITメディアの掲載記事を紹介します。

 

サウジアラビアの首都リヤドにある公立病院King Faisal Specialist Hospital & Research Centreでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにおける病院の運用と医療提供の最適化を図るために機械学習のプラットフォームを開発しました。病院の統合診療情報システムのほか、医薬品や個人防護具(PPE)、人工呼吸器などすべてのサプライチェーンの情報を取り込んだプラットフォームは92%と精度の高い予測モデルを実現。スタッフ不足によるインシデントの回避、ワクチンを接種していないスタッフの把握などを可能としています。

AIはさらに個別化医療、医用画像、臨床診断のほかPXに活用しています。

「PXAIモデル」は2021年3月に運用を開始。693人の患者について個別レビューを行い、3840の行動によりPXを向上できるという、精度87%の予測モデルを達成しました。「たとえゲノム研究で数バイトのデータにアクセスでき、適切なタイミングで医師にフォーカスしたメッセージを提供できたとしても、テクノロジーなしに患者ケアの新しいモデルは実現しませんでした。これは医師が患者と話すのに役立つ単なる情報ではなく、前のセッションから次のセッションへと続き、研究室で起きていること、薬局で起きていること、すべてがペイシェント・ジャーニー(患者が経験したこと)であるとするソリューションです」と同病院CIO(Chief Information Officer;最高情報責任者)で医師のOsama Alswailemさんは話しています。

 

記事ではソリューションの詳細に触れられていませんでしたが、DX(デジタルトランスフォーメーション)によってPX向上ができるというのは興味深いです。調べてみたいと思います。

Link:https://www.healthcareitnews.com/news/emea/machine-learning-speeds-digital-transformation-leading-saudi-arabia-hospital

 

 

3. 今後の予定


第5回寺子屋を8月21日(土)に開催します。日本における“PX推進ホスピタル“、国立病院機構九州医療センターの2020年度の取り組みを報告します!

 

第5回PX寺子屋

・日時:2021年8月21日(土)13:00-14:00

・テーマ:「PX概論」 訪問看護ステーションアクティホーム 事業責任者 講内源太

「九州医療センター2020年度PXサーベイ実践報告」 国立病院機構九州医療センター 小児外科医長 西本祐子

https://www.pxj.or.jp/events/

 

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PX研究会では「第4回PXフォーラム 変革から成熟へーWithコロナ時代のPXがもたらすものー」を12月4日に開催します。COVID-19の影響により、今年はオンラインのみでの開催です。PX研究会会員(法人・個人)は無料。会員外の方は第1・2部で3000円となります。第1部、第2部のみ(各1500円)参加も可能です。フォーラムの詳細と申し込みは下記リンクからお願いします。

https://www.pxj.or.jp/pxforum2021/

 

 

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※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

編集部から


海外から取り寄せたものが、簡易で地味な包装だと思って裏返してみたらこのような美しい絵が現れました。まさに「予想外価値」でした!(F)