日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.132

1.第3回PXE養成講座を開催
2.第3回PXフォーラム・クローズアップ②
3. 今後の予定

1.第3回PXE養成講座を開催


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では11月21日(土)、第3回PXE養成講座をZoom(Web会議ソフト)にて開催しました。PXEについてはこれまでも紹介していますが、医療現場などで患者視点の医療サービスの提供を実現する旗振り役として活躍していただける人材を育てるための当研究会の資格制度です。この日は第1期生を含めて36人が参加しました。

 

今回の学習テーマは、「PXサーベイの実践」。急性期病院、専門病院での当研究会が開発した日本版PXサーベイの導入事例と、在宅歯科診療でのPXサーベイ実施に向けた取り組みについて学びました。

国立病院機構九州医療センターでは2015年から、米のPXサーベイであるHCAHPSを日本語に翻訳して実施していましたが、並行して2017年から日本版PXサーベイ(入院編・外来編)も行っています。同院の医師である西本祐子さんは病院での導入準備や実施方法、集計、結果公表までの流れを紹介。「実務をどの部門が担うか、実施にあたり協力が不可欠な看護部をはじめ、各部門への段取りが必要。従来の患者満足度(PS)調査とどこが違うのか、どうしてPXサーベイをしなければいけないのかを説明することがマストです」と強調。幹部、師長、看護クラークへのプレゼンテーションと、実施の際に現場ラウンドしてスタッフに声掛けをするといった細やかな気配りが欠かせないことをポイントとして挙げました。

 

既存の問診支援システムとタブレット端末を使って日本版PXサーベイを2019年6月から開始した、稲波脊椎・関節病院。同院の広報・IT部門の古川幸治さんは、実施方法の検討について細かく説明を行いました。多くの病院ではある一定期間を決めてPXサーベイを実施していますが、同院ではデータ管理の効率化を図ったことにより、継続して実施しています。

2020年10月までの実施件数は1972件。悪い回答を選択した割合が多い上位10項目を挙げたうえで、「患者の年齢別、医師別といったデータ収集のとり方を考えて分析するなど、改善につなげることを考えています」と古川さんは振り返りました。また今後実施に向けた検討課題として、①回答する患者の個人が特定されてバイアスがかかっていないかどうかを分析、②法人内の別病院で実施したうえで結果を比較・分析する――としました。

 

在宅歯科診療を展開する、ごはんがたべたい歯科クリニック院長の齋藤貴之さんは、「PSの高い治療は患者のクリニックに対するロイヤルティを高め、治療の継続率や治療後のメンテナンスへの移行率などに大きく関与し、結果として治療成績の向上につながる」という考えのもとで、前職のクリニックでのPS評価の取り組みを紹介。「PXサーベイにより医療の質の向上に加え、スムーズな医科歯科連携にも貢献するのではないか。歯科や在宅診療の既存のPXサーベイがないなかで、患者のペイシェントジャーニーの言語化や可視化を行うことで、PXサーベイを開発していきたいです」と力を込めて語りました。

 

グループディスカッションでは、「PXサーベイの意義を院内にどうPRし、どのように結果公表するか」を話し合いました。▽各種会議などで何回も説明を重ね、組織一体となって進めていくことが大事、▽トップに実施目的を伝え、実施にあたって動くチームには病院をよくしませんかといった声掛けと危機感を煽る」、▽多職種によるプロジェクトチーム、現場に理解を広める下部組織をつくる――などといったアイデアが出ました。

 

※受講者で第3回講座を欠席した方は、講座メンバー専用ページにテキスト・ビデオをUPしていますので視聴のうえ、課題の提出をお願いします。

 

 

2.第3回PXフォーラム・クローズアップ②


「第3回PXフォーラム~PXとEXから考えるWell-being」が12月5日(土)に開催されます。今号のメールマガジンでは、ご賛同いただいた団体からのメッセージをご紹介します。日本で患者中心の医療を実現させるには、企業・団体の理解や協力、支援も必要であり、大事なパートナーと考えています。

 

☆一般社団法人日本ホスピタルアライアンス

日本ホスピタルアライアンス(NHA)は全国の288病院(11万5000床)が加盟する、日本最大の共同購入組織です(2020年12月現在)。15分野473分類の共同購入に取り組むとともに、加盟病院の経営支援の一環として、2014年からPXサーベイを実施しています。PXサーベイでは設問ごとの病院間ベンチマークと、PX研究会の統計分析による総合患者満足度に関連する各病院の強み弱み分析等を参加病院に報告しています。

米国政府のPXによる病院の質評価と診療報酬への反映は、日本の診療報酬、保険医療制度にも導入されるのではないかと考えています。そういった考えのもと、加盟病院間の設問ごとのベンチマーキングに利用するためにPXサーベイを実施しており、分析結果の提供を継続していきたいです。高スコア病院との情報交換や統計分析の分母を拡大するために参加病院を増やせるよう、取り組みやすさを追求するとともに、コーチングやジャーニーマップ作成支援など、PX活動の改善に取り組んでいきたいと思います。

また、PXサーベイに加えてEXサーベイの実施と分析を、加盟病院へ提供したいと考え、研究中です。厳しさを増し将来も不透明な経営環境にある病院に対し、コスト削減だけでなく運営面からも経営改善に貢献したいです。

ホームページ:https://nha-gpo.or.jp/

 

 

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第3回PXフォーラムはZoom(Web会議ソフト)での開催となります。研究会員は無料です。フォーラムの概要および申し込みは下記リンクから確認をお願いします。

☆概要

Link:https://www.pxj.or.jp/pxforum-2020/

☆抄録

Link:https://www.pxj.or.jp/wp-content/uploads/2020/11/2020PX%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%A0%E6%8A%84%E9%8C%B2.pdf

☆申し込み

Link:https://peatix.com/event/1622615

※申し込み方法として採用しているpeatixの個人情報流出が判明しております。決済関連情報やイベント参加履歴、住所、電話番号などは引き出された事実は確認されていないとのことです(11月18日現在)。対応としてパスワードの再設定が必須となっております。お手数ですが、詳細は下記からご確認ください。

Link:https://announcement.peatix.com/20201117_ja.pdf

 

 

 

3. 今後の予定


PX研究会では2020年は勉強会を「PX寺子屋」と銘打ち、全国展開していく予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、すべてオンラインでの開催といたします。「第4回PX寺子屋」は、日程など詳細が決まり次第、掲載します。

 

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PX研究会では「PXアワード2020」を開催しています。「こんな医療機関がもっとあったらいいのに!」とほかの人に勧めたい医療機関に投票してください。結果は第3回PXフォーラムで発表します。11月28日(土)までエントリーを受け付けています。下記リンクからぜひ投票をお願いします。

Link:https://www.pxj.or.jp/pxaward/

 

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※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

編集部から


新宿伊勢丹で開催中の現代アーティストの展覧会は「Retail Experience」、小売体験をデザインするという企画。購入体験を演出し、現代アートを取り入れた日常生活の提案を行っているそうです。写真のバッグがほしかったです(売っていたとしても買えないですが非売品でした)。11月30日まで無料開催なので、興味のある方はぜひ!(F)