日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.241

1.NHAに聞く PX調査の意義
2.PX寺子屋開催!
3. 今後の予定


※配信が遅れましたことお詫び申し上げます

1.NHAに聞く PX調査の意義


共同購入による病院の経営支援を行っている一般社団法人日本ホスピタルアライアンス(NHA)では、2018年度からPX(Patient eXperience;患者経験価値)を取り入れた患者アンケート(以下、PXアンケート)を実施。調査結果の分析を日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会が担当しています。参加病院は結果をもとに改善活動につなげており、そういった成果についても共有しています。PXに着目したきっかけ、PXアンケートの意義などについて、常務理事の後藤俊男さんにお聞きしました。

――NHAとはどういった組織なのでしょうか。

病院経営を支援し、経営改善につながる活動を行っている非営利団体で、加盟病院は約330病院です。主に400床程度の急性期病院が中心となります。共同購入は医療材料や設備など15分野ほどで行い、コスト削減につなげています。

経営層委員会を設け、共同購入以外にも病院経営を支援します。最近では、職種別従業員調査を実施しました。病院には医師や看護師をはじめとした、30に及ぶさまざまな職種があります。しかし要員の基準が曖昧です。そこで加盟病院で調査し、病床規模や経営主体といった切り口で職種別の平均職員数を示しました。PXアンケートも同様に、経営改善活動の一環として行っています。

――PXに着目した経緯を教えてください。

我々の共同購入は米国大手GPO(Group Purchasing Organization;共同購買組織)のPremier社のシステムを取り入れています。その流れで、米国の病院ではPXが重視されていて診療報酬にも反映するといったことを教えてもらいました。経営層委員会で検討を行い、米国保健福祉省が使用する病院向けPXサーベイであるHCAHPS(Hospital Consumer Assessment of Healthcare Providers and Systems;エイチキャップス)を日本の医療機関向けに調整したものがPXアンケートです。

――PXアンケートの実施状況はいかがでしょうか。

加盟病院のうち希望する病院が参加するかたちで実施しています。参加病院は年々増えており、2022年度は77病院が参加しました。

設問は医師や看護師のコミュニケーション、退院時の情報提供など6つのカテゴリで構成し、それぞれにスコアが算出されます。参加病院間での比較ができること、従来のPS(Patient Satisfaction;患者満足度)調査と比べて患者サービスのプロセスの改善につながることなど、参加病院は評価してくださっていると思います。

――PXアンケートについて、今後どのような展開を考えていますか。

全加盟病院で実施すべきだと考えており、PXアンケートのよさを伝えていくことが大事です。この4月以降は、加盟病院の幹部に対して直接メールで案内をする計画です。参加病院にアンケートの活用法、改善に向けた取り組みなどをインタビューしていますが、それを好事例として共有することでPXへの理解を深めてもらいたいと思っています。

費用はNHAの負担なのでかからないですし、自分たちで集計する必要もないので導入しないという選択はないのではないでしょうか。ただ、PXアンケートに切り替えたら従来実施しているPS調査をやめなければならないといった抵抗感があるのは否めません。

PXのよさを具体的な成果として、病院に訴えていく手段が必要です。普及のためにベストなのは診療報酬に反映されることですが、PXを推進する唯一の団体で学会での発表などを行っているPX研究会にも期待しています。

2. PX寺子屋開催!


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会が企画するオンライン勉強会、「第11回PX寺子屋」が3月25日に開催されました。30人ほどが参加し、グループでPXの取り組みの現状、今後のあり方についてなどをお話しいただきました。

勉強会は発足当時から続けているもので、毎回ゲストの講師をお呼びし、PXに関するトピックを取り上げています。今回は、石川県小松市のやわたメディカルセンターPX推進室参与の安田忍さんに、推進室の取り組みの現状についてお話しいただきました。

同院は2022年4月に日本初となる「PX推進室」を設立しています。院内でのPXの学びを共有するミーティングを開催するほか、NHAによるPXアンケートにも参加しています。結果を受けて改善に向けたチーム(患者サポート、PX改善)を結成したりなどの取り組みを行ってきました。

安田さんはPXE(Patient eXperience Expert)の第3期生でもあり、「オンラインでも会う機会が寺子屋などに限られています。PXEとして連携の機会をつくりたい」と提案。同じくPXに取り組んでいる小松市民病院など、北陸の病院同士でつながり、PXを盛り上げていきたいとの話になりました。

この提案を受けるかたちで、許諾をいただいたうえ、PX研究会のホームページ上でPXE卒業生の名前を公表することにしました。4月中には掲載できる予定です。研究会としても交流イベントなどを企画していければと思っております。

第5期生も現在募集中です、下記にあるURLのリンクからエントリー可能ですのでよろしくお願いいたします!

3. 今後の予定


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では第5期生のPXEの募集を開始しております。

2023年7月開講の全5回の養成講座では、PXの基本的な考え方からPXサーベイの実践、患者ジャーニーマップの作成、患者の思いを引き出すコミュニケーション法などを学ぶことができます。

患者視点の医療サービス提供を実現したい方であれば、医療者に限らず、どなたでも受験可能です。医療現場や職場でPXを向上させる旗振り役として、私たちと一緒に活動しませんか?

概要および申し込みは下記リンクからお願いします。

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※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

編集部から


忙しいと現実逃避したくなります。あまり興味がなかったイタリアに行きたい熱が高まっています。南イタリアでグリーンの海を眺めながらシーフードを食べたい!(F)