日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.257

1.PXチャレンジミーティングin北陸
2.PX追跡の自動化ツール
3.今後の予定

※配信が遅れましたことお詫び申し上げます。

1.PXチャレンジミーティングin北陸


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では、日本の医療機関でのPXを推進活動の一つとして、2019年からPXE(Patient eXperience Expert)を養成しています。PXEの資格取得者が多い北陸地区では地域でPX(Patient eXperience;患者経験価値)を推進すべく、7月16日に初の「PXチャレンジミーティング北陸」を開催しました。

同ミーティングには小松市民病院、厚生連高岡病院、やわたメディカルセンターの3病院の職員が参加。各病院ではPXEが中心となり、PX向上に取り組んでいます。開催場所となった小松市民病院は「PX向上推進ワーキンググループ」を立ち上げており、2023年度の活動としてPXの地域交流を掲げていることもあって、同ミーティングが実現しました。

3病院の取り組みとして、厚生連高岡病院副院長・医療の質管理改善部長の柴田和彦さん、やわたメディカルセンターPX推進室の川端秀隆さん、小松市民病院PX向上推進WGリーダー・外科担当部長の竹本法弘さん、同WG副リーダーの湯野智香子さんが発表を行いました。

また、PX研究会代表理事の曽我香織さんは「患者さんのニーズを引き出し、PXを高めるコミュニケーションワークショップ」をテーマに、ソーシャルスタイル理論を紹介しました。

人の言動を4つのスタイルにカテゴライズして分析する、コミュニケーションの理論で、各人のソーシャルスタイルを「認める」という過程を通して、より効果的なチーム形成と作業効率の向上が図られるというものです。スタイルは下記リンクから診断が可能です。参加者に多かったのは、「エミアブル」「エクスプレッシブ」タイプで、「エクスプレッシブは医療従事者ではかなり珍しい」(曽我さん)とのことです。https://www.wowcom.co.jp/service/quality/training/socialstyle/theory.html

同ミーティングは、「他施設の取り組みや活動状況を共有する」「北陸でのPX推進」を目的としています。小松市民病院では、「3つの施設が輪番制で継続していくことにより、北陸でPXに取り組む施設やPXEの仲間が増えていくことを希望しています」と話しています。

休日にもかかわらず3病院から30人が集まりました。日本のPX先進地として今後の活動に注目です!

2. PX追跡の自動化ツール


米国ニューヨーク州にあるOne Brooklyn Health Systemでは、健康の公平性を測る調査ツールを開発しています。患者のPXの追跡を自動化することで、人種格差や社会的決定要因に対処するためのトレーニング、方針、手順の開発に役立てています。

患者やコミュニティが調査に参加することは、その対象が誰であろうと、あらゆる形や規模の医療提供組織にとって、常に困難な課題となっています。どのような調査であっても、最終的な結果が患者の全体的な満足度やアウトカムにどのような影響を与えるかを、最も適切に説明する努力が必要です。紙ベースの世論調査は通常時間がかかり、長時間の定量化が要求されるため、最適とは言えません。

「情報の収集から分析までにかかる時間は、手間のかかる作業となり、納期に大きな影響を与える可能性があります」と、One Brooklyn Health Systemの一部門である、Interfaith Medical centerの外来サービス担当副社長であるGwendolyn Lewisさんは言います。

「さらに、紙のアンケートは間違って翻訳される可能性があり、通常、回答率が低いです。これは無回答エラーとも呼ばれ、潜在的に参加する気がなかったり、連絡が取れなかったりした場合に起こります。無回答は研究の精度を低下させ、結果に偏りをもたらす可能性があります」

よく知られているPress Ganeyのツールは、PXに関するフィードバックを得るための仕組みをヘルスケアシステムに提供するものですが、不平等なケアや治療に対する患者の感情や経験をスタッフに伝えるものではないとして、新たな調査ツールとして「The Brooklyn Health Equity Index」を開発しました。同ツールは、ヘルスケアシステムが患者のフィードバックを通じて不公平を特定し、対処できるようにするために設計されています。

「ベンダーであるCipherHealthを通じて提供された自動アウトリーチ技術を使用することで、スタッフが調査を実施することなく、多くの患者とコンタクトを図ることができるほか、データの迅速な納期および分析がより簡単な形式によって調査情報を受け取ることができました」とGwendolynさんは述べています。

The Brooklyn Health Equity Indexは、他のPXサーベイとは異なる、とGwendolynさんは言います。

「このツールは、PXに関するPress Ganeyのツールよりも一歩進んでいます。同社のツールは、患者が差別されているかどうかを扱っていますが、患者が差別されているかどうかには言及していないのです。患者が入院または外来で決定されたレジメンを遵守できるかどうかには対応していません。私たちの調査は、実際の経験がどのようなものかを教えてくれます」

The Brooklyn Health Equity Indexで採用するCipherHealthは、高度な個人的に自動化されたスケーラブルなオムニチャネルコミュニケーション技術を通じて、医療提供者、患者、介護者、コミュニティをつなぐヘルスケア技術プラットフォームです。このツールは、患者が自分のケアを理解し、ケアチームに文脈に沿った実用的な洞察を提供できるように設計されています。CipherHealthはベンダーの Twilio と協力してコミュニケーション機能を管理しています。

「テキストまたは電話でアクセス可能なユーザーフレンドリーな調査プラットフォームは、差別、暗黙の偏見、医療不信、患者の安全性など、既存のPXツールでは見逃されがちなデータを収集する調査プロセスを通して、コミュニティメンバー間を行き来しています。患者登録パラメータが設定されると、システムは Brooklyn Health Equity Index の配信を自動化。CipherHealthのアウトリーチ機能は、自動化されたコールとテキスト、参加者の匿名性、人口統計データの包含、迅速な分析を可能にするオンタイムの Excel ファイルエクスポートなど、研究の要件に合致していました」

The Brooklyn Health Equity Indexは2段階で展開されました。第1段階では4000件以上のアンケートが、第2段階では1万件以上のアンケートがOne Brooklyn Health Systemの患者に送られました。「自動化されたアウトリーチ技術を使って1万4000人以上の患者に接触し、そのうちの1700人以上が、プロジェクトの第2段階と第3段階の間でアンケートに回答しました。「One Brooklyn Healthの全施設を代表する患者の回答者を得ることができました。この情報は、ケアにおける体系的なギャップや傾向を特定するのに役立ちます」 とGwendolynさんは話しています。

全文は下記リンクからお読みください。

Link:https://www.healthcareitnews.com/news/brooklyn-provider-automates-patient-experience-tracking-spot-health-equity-gaps

3. 今後の予定


PX研究会では今年から新たにEX(Employee Experience;従業員経験価値)講座を開講します。

EXは医療現場で働く人が経験する、すべての体験を指します。EXを高めることで組織目的の達成のためのエンゲージメント向上、従業員のwell-being向上、患者へのよりよいPXにつながるとされています。実際に、海外の知見ではEXとPXの関連性が示されています。講座ではEXの定義、EXを高めるうえでどのような視点が重要なのか、医療期間でどのような取り組みができるか、そしてPXとの関連性について初学者向けに解説します。

申し込みは下記リンクからお願いします!

https://www.pxj.or.jp/ex/

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※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

編集部から


8月4日は「一粒万倍日」と「天赦日」が合わさる最強開運日だそうです。ゲン担ぎで初めて、新しい財布を下ろしました。(F)