日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.65

1.第28回勉強会を開催!
2.連載「Patient Stories」第6回 自閉症の青年がeagle scoutを獲得するまで
3. 今後の予定

1.第28回勉強会を開催!


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会の第28回勉強会を7月13日(土)に開催しました。

 

隔月ペースで開催している勉強会では当研究会での最新の取り組みや、PXに関する国内外の最新トピックを紹介しています。初参加の方向けに毎回、PX概論を研究会メンバーが交代で解説しています。

今回の勉強会では、「PX最新のあゆみ」として3人の研究会メンバーがそれぞれの取り組みを紹介しました。

代表理事の曽我香織さんは当研究会がPXサーベイ開発に至った背景から現在の実施状況、今後の課題について話しました。国立病院機構九州医療センターでアメリカのHCAHPS(Hospital Consumer Assessment of Healthcare Providers and Systems)によるPXサーベイと当研究会の日本版PXサーベイ・入院編を実施してきた西本祐子さんは、日本版PXサーベイ・外来編を初めて実施した結果を報告しました。

これまでの勉強会では病院でのPXサーベイの取り組みが中心でしたが、今回は在宅医療にかかわるメンバーによる在宅での取り組みについての紹介もありました。

訪問看護ステーションで検討したケアプロセスの評価にPXサーベイを活用し、業務改善につなげるという取り組みをしている有限会社いわきケアフォレストの講内源太さんは、日本版PXサーベイ・外来編の設問を在宅プロセスに落とし込んだ調査票を作成。利用者66人への実施結果を説明、「ケアプロセスの検討課題が明確になり、改善活動がしやすくなった。ケアの際に何を意識すべきかがわかりやすくなった」と話しました。

 

PX概論ではクリーブランドクリニックが作成したPX関連の動画を流しました。参加者が動画にタイトルをつけて、よかったものに一票を投じているところです!
photo by YOSHIJI

 

2.連載「Patient Stories」第6回 自閉症の青年がeagle scoutを獲得するまで


ボーイスカウト活動が盛んなアメリカでは、最高位の「eagle scout(イーグルスカウト)」を獲得することが社会的ステータスでもあります。「成功するにはイーグルスカウトになれ! 歴代大統領や有名スポーツ選手、宇宙飛行士もみんなイーグルスカウトだ」といったテレビコマーシャルが流れているとか……。ボーイスカウトの6%しか獲得できないイーグルスカウトを獲得した自閉症スペクトラムの青年が、第6回「Patient Stories」の主人公です。

 

☆2つの世界を1つにまとめる力

20歳のTimmy Hargateさんは、クリーブランドクリニックが開設するLerner School(オハイオ州公認の自閉症スペクトラムの子どものためのデイスクール)に長年通っています。極端な会話能力の遅れにより、話そうと試みても発語することができません。7歳の時にLerner Schoolに通い始め、音声生成装置(speech-generating device; SGD)を使うことを学びました。それにより、言葉をタイプするかiPadで事前にプログラムされた返答を打つことでコミュニケーションがはかれるようになりました。

eagle scoutを獲得するためのプロジェクトとして、TimmyさんはLerner Schoolの恒例イベント(Timmyさんが所属するボーイスカウトとの交流イベント)の計画とマネジメントを行うことにしました。

生徒一人ひとりに適した活動やゲームを選択するのに数週間を費やし、ポスターの作成やイベント当日の進行管理を担いました。「Timmyとほかのスカウトたちにとって、Lerner Schoolとパートナーシップを組むことができた素晴らしい機会でした。私たちはTimmyが、自分が属する2つの世界を1つにまとめるところを見ました。そして彼は、他人に仕えるというスカウトの法則を実現できたんです」とLerner Schoolの言語病理学者であるPhoebe Masonさん。「Timmyはいつも笑顔で、ほかの生徒を励ましてくれています。私はTimmyをとても誇りに思います、彼の業績に役立ったことがうれしいです」

「Lerner Schoolは、Timmyが仲間である生徒や大人とコミュニケーションをとる方法を学ぶサポートをしてくれました。ボーイスカウトは彼が社会的スキルを身につけるのに大いに役立ちました」とTimmyさんの父親のEd Hargateさんは言います。「eagle scoutを獲得できたのは、彼にとって大きな成果でした。たとえ障害があっても非常に難しい仕事をすることができることを示しているからです」

 

 

出典:https://my.clevelandclinic.org/patient-stories/262-leukemia-patient-meets-bone-marrow-donor-who-saved-her-life

☆☆☆

日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では今年から、PXの高い医療機関を投票によって決める「PXアワード」を開催します。医療従事者、患者、企業の方、どなたでも投票可能です。PXの高い医療機関として推薦する医療機関名と推薦理由、あなたの患者としてのストーリーをお寄せください。

PXアワード2019

3. 今後の予定


次回、第29回勉強会は8月24日(土)の開催です。会員以外の方でも参加可能です、ぜひお越しください。

 

第29回 PX研究会 勉強会

8月24日(土)15:00-17:00

場所:株式会社イトーキ SYNQA 2F

※通常と開始時間が異なります。終了後に納涼会を予定。

 

「PX概論」 日本赤十字社医療事業推進本部財務課長  古源 真

「日本医療マネジメント学会 発表報告」

会費:勉強会参加費 1000円(研究会員は無料)

 

※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

 

編集部から


ぐずついた天気が続きますね、ささやかな日常のなかに気分を上げる何かを見つけるようにして心までジメジメしないように気をつけています。少し前のことですが梅雨の合間、ほんの一瞬だけ夏を味わうことができました。(F)