日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.170

1.府中病院(法人会員)のご紹介
2.コロナ禍での臨床コミュニケーション
3. 今後の予定

1.府中病院(法人会員)のご紹介


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では患者中心・患者視点の医療サービスの実現をめざし、さまざまな事業を行っています。活動の1つとして、研究会の取り組みにご賛同くださり、一緒にPXの輪を広げていただける法人会員を募集しています。

このたび、新たに法人会員になっていただいた社会医療法人生長会府中病院(大阪府和泉市)は、大阪府南部の急性期医療を担う基幹病院です。目指しているのは「Excellent Hospital(最高の病院)」。開設当初から患者、職員、地域を大切にするという考えのもと、病院運営を行ってきました。院長の竹内一浩さんに、患者のための最高の病院づくりと、今後のPXの取り組みをお聞きしました。

 

 

☆患者中心=安心して治療を受けられる

「患者中心の医療」という考えは日本にも浸透しつつあり、多くの医療機関で掲げています。竹内さんは、「府中病院ではまずは患者さんに安心して治療を受けていただけることを第一に考えています。そのためには治療の質を高めることはもちろんですが、すべての職員が患者さんにとって善い行いをするという強い想いを持つことが大切です」と説明します。

笑顔が素敵な竹内一浩院長

 

府中病院には次の3つの理念があります。

・愛の医療と福祉の実現

・地域と職員と共に栄えるチーム

・yu・ki・to・do・ku ゆき届いたサービス

 

この理念を実現し、患者中心の医療を展開するうえで、重要な役割を担っているのがクオリティー管理センターです。同センターには医療の質と安全を担保する「医療安全管理室」、感染対策を行う「感染制御室」や患者とその家族、職員が病院で安心かつ健やかに過ごせるようにサポートを行う「患者支援室」「職員支援室」を設置しています。

患者支援室は専任スタッフ3人で運営しています。患者や家族の支えとなるべく、医療に関するさまざまな相談に応じています。

また、患者と医療者との架け橋役を担う「医療メディエーター」がいて、両者の対話を推進しています。「治療の過程では意見の食い違いなどトラブルが起き、対立構造になってしまいがちですが、患者支援室のスタッフが介入することで心情的な衝突を避けることができます。クオリティー管理センターの中で情報共有ができていることが、よりよい患者支援につながっていると思います」(竹内さん)

患者と職員のサポート役、クオリティ管理センターのみなさまです!

 

☆病院を挙げてPXに取り組みたい

法人会員になった経緯について、「病院運営では、CS(Customer Satisfaction;顧客満足度)、ES(Employee Satisfaction;従業員満足度)を大事にしたいという思いがあり、PS(Patient Satisfaction;患者満足度)を高めるための方策を調べていた時に、医療関連の雑誌でPXという概念を知りました。PS調査を行っているものの、その結果をもとに具体的に何をしたらいいのかがわからないといったことがありました。PXはPSよりも、より具体的に患者さんが私達に求めていることが何なのかがわかるのではないかと感じました」と竹内さんは振り返ります。

今後の取り組みとして、「PXの考え方を取り入れたPS調査の実施が第一歩」としています。患者支援室を中心に進める計画で、同室のスタッフが現在、PXE(Patient eXperience Expert)を受講中です。

竹内さんは、「例えば外科系手術の一連の流れについてアンケートを実施し、PXに関する情報を収集して、それを改善につなげていくようなことを考えています。まずはすべてのスタッフにPXを理解してもらう機会をつくりたいと思います」と展望を語ってくださいました。

 

社会医療法人生長会府中病院

Link:https://seichokai.jp/fuchu/

 

 

2. コロナ禍での臨床コミュニケーション


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が医療機関での臨床コミュニケーションにどんな影響を与えたのでしょうかーー。米バージニア州にあるヘルスケアIT企業・Spok社が実施した調査結果を紹介します。

 

調査では米国の医療機関の幹部、医師、看護師、IT担当者など200人超が、所属する医療機関のコミュニケーションの状況について回答を寄せました。

 

COVID-19以前から米国で問題視されてきた医師の燃え尽き症候群ですが、回答者の92%がパンデミック以降に燃え尽き症候群であるレベルが「中程度」上がったとしています。医療機関の幹部の60%は「大幅に」増加したと指摘した一方で、「まったく増えていない」と感じたのはIT担当者のみでした。

オペレーターサービスがどれぐらいPXのサポートをしたかという問いでは、57%が大きく貢献したと評価しました。貢献していないという回答はわずか1%でした。また、ITコミュニケーションプロジェクトの48%が中止を余儀なくされましたが、43%は今後6カ月以内に再開すると予測されています。

PXについては総括で、PXは組織が重要な決定を行う際の中心にあることを示しているとしたうえで、ワークフローの改善を進める必要があるとしました。対面でのコミュニケーションが図れないなかで、オペレーションセンターはPXの重要な要素だったとしています。

 

調査の全文は以下のリンクから読むことができます。

Link:http://cloud.spok.com/AMER-EB-2021-State-Of-Healthcare.pdf

 

 

3. 今後の予定


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では「第4回PXフォーラム 変革から成熟へーWithコロナ時代のPXがもたらすものー」を12月4日に開催します。COVID-19の影響により、今年はオンラインのみでの開催です。PX研究会会員(法人・個人)は無料。会員外の方は第1・2部で3000円となります。第1部、第2部のみ(各1500円)参加も可能です。フォーラムの詳細と申し込みは下記リンクからお願いします。

https://www.pxj.or.jp/pxforum2021/

 

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PX研究会では2021年は勉強会を「PX寺子屋」と銘打ち、全国展開していく予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、すべてオンラインでの開催といたします。「第7回PX寺子屋」は11月13日(土)12:30 ~、開催です。申し込みは下記リンクからお願いします!

 

「PX概論」       原町赤十字病院  引田紅花

「摂食嚥下の学会報告」 幌西歯科(札幌市)院長 濱田浩美

https://www.pxj.or.jp/events/

 

 

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※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

編集部から


ホテルのコーヒーショップに行ったら満席。ロビーへと案内され、待っている間にスタッフが冷たいお茶とおしぼりを持ってきてくれました。予想外価値、うれしかったです。(F)