日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.103

1. 第1回PX寺子屋を開催!
2.COVID-19スクリーニングツールを無料公開
3. 今後の予定

1.第1回PX寺子屋を開催!


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では4月18日、初となるオンライン勉強会「第1回PX寺子屋」を実施しました。

 

勉強会では初参加の方にPX(Patient eXperience;患者経験価値)を知っていただくため、冒頭に運営メンバーが概論として紹介しています。今回は、岩井医療財団システム課・広報課の古川幸治さんがPS(Patient Satisfaction;患者満足度)調査との違いについて、スーパーマーケットでの買い物を例に説明しました。

スーパーで買い物をする際に、買いたいものが買えたか、その商品が満足するものだったかで評価するのがPS調査です。

一方、PXでは店で商品の陳列や売り場のスタッフの対応、レジまでの動線といった、商品を買うまでのさまざまな経験(エクスペリエンス)を一つひとつ評価していきます。たとえ商品に満足したとしても、整頓されておらず商品を探しづらかったりスタッフの対応が悪かったりすれば、商品をリピートする場合でも次は別の店で買おうと思うかもしれません。客のエクスペリエンスを評価することにより、商品のレイアウトを変更する、接遇研修を行うといった改善活動につながりやすくなります。古川さんは「PXは医療現場の改善を進める手段であり、医療の質向上につながります」と語りました。

 

当研究会では今年、EX(Employee eXperience;職員経験価値)サーベイを開発し、医療機関におけるEX向上を推進していきたいと考えています。

EXサーベイの実施を予定している国立病院機構九州医療センターの西本祐子さんから、EXサーベイの開発状況について説明がありました。「医療=サービスと考えると、モノやカネだけでなくやはり人が大事。病院は専門職の集まりで病院間での人材の流動性が高く、個々のモチベーションを保つためにもES(Employee Satisfaction;職員満足度)を高めていくことが求められています」と話したうえで、イギリスのNHS(国民保健サービス)が実施しているスタッフサーベイをベースにした日本版EXサーベイについて紹介しました。

代表理事の曽我香織さんは、「PXが高い病院では負荷がかからないようにスタッフのケアが必要で、EXを掲げた取り組みをしています」と指摘。日本の医療機関でのEX向上に向けて、▽日本の病院でのEXサーベイの実施、▽PXサーベイとの相関を測る、▽ほかのアウトカム指標とEXの比較、▽EXを高めるための施策展開――を当研究会で進めていきたいと話しました。PXやPSが高い病院では職員のエンゲージメントが高いといったイギリスやアメリカでの研究についても触れ、「EX向上のキモとなるのは管理職。管理職にはリーダーシップやマネジメント力、コミュニケーションスキルが必要とされています」と締めくくりました。

 

Zoom(Web会議ソフト)を使っての開催でしたが、28人と多くの方にご参加いただきました! 当日の資料は、会員の方はメンバーページから閲覧可能です。

Link:https://www.pxj.or.jp/memberonly/

 

2.COVID-19スクリーニングツールを無料公開


米オハイオ州のクリーブランドクリニックでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のオンラインスクリーニングツールを無料公開しています。

 

COVID-19のリスクを判断するもので、チャット形式で回答していきます。下記サイトにアクセスし、「START YOUR SCREENING NOW」のタブをクリックすると、次のような問いが出てきます。

Link:https://my.clevelandclinic.org/landing/preparing-for-coronavirus?utm_campaign=coronavirus-url&utm_medium=offline&utm_source=redirect&utm_content=coronavirus-url&_ga=2.8066868.721778314.1587464922-543795792.1584540895

・最近、COVID-19のハイリスク地域を旅行しましたか(ハイリスク地域として中国、ヨーロッパ(シェンゲン圏)、イラン、アイルランド、マレーシア、韓国、イギリスが挙げられています)

・これらの国を訪れた、現在病気の人と接触しましたか

・COVID-19感染者である誰かと接触しましたか

・公衆衛生の担当者からCOVID-19に曝された可能性があると言われましたか

・次のいずれかの症状(発熱、咳、鼻水、喉の痛み)が出ていますか

 

回答結果からCOVID-19のリスクレベルが判明、レベルによってオンライン受診やかかりつけ医への連絡といった推奨事項が示されます。上記サイトにはCOVID-19に関する基本情報(症状、予防)のほか、CDCガイドラインや患者増加への対応策といった医療者に役立つ情報も掲載しています。ぜひアクセスしてみてください。

 

 

3. 今後の予定


PX研究会では勉強会を3年間、東京で定期開催していましたが、2020年は「PX寺子屋」と銘打ち、全国展開していきます。

内容は、PXの初歩的な話と実践事例(事例はスピーカーによって異なります)の紹介です。新型コロナウイルス感染症が収束した段階で開催を決めたいと思います。日時、場所は決定次第、当メールマガジンやホームページでお知らせします。自分の医療機関や地域で寺子屋を開催したいというご要望にもお応えできればと思っていますのでぜひお声がけください。

※研究会員の方が対象です。地方開催の場合は交通費をご負担いただきます

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オンラインによる勉強会、「第2回PX寺子屋」を開催します。

6月20日(土) 13:00-14:00

※Zoom(Web会議ソフト)での開催となります。参加者にはリンクをお知らせします。

※研究会会員は無料、会員外の方は有料(1000円、事前に参加費の振り込みをお願いします)。申し込みは下記リンクからお願いします。

Link: https://www.pxj.or.jp/events/

 

※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

編集部から


先日のオンライン寺子屋にご参加くださったみなさま、ありがとうございました! 遠くはエジプトから駆けつけてくださるなど(Zoomの設定で背景を変更していたようです)、オンラインならではの楽しみも。私は自宅から参加しましたが足元はこんな状況でした(マットを前足でフミフミしています)。(F)