日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.173

1.第4回PXE養成講座を開催!
2.“ジェネレーション C”のPX
3. 今後の予定

1.第4回PXE養成講座を開催!


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では10月16日に、第4回PXE養成講座を開催しました。7月から始まった全5回の講座もいよいよ終盤、今回はメインとも言える「ペイシェント・ジャーニーマップ」を作成しました。

 

PXE養成講座は、医療機関や職場でPX(Patient eXperience;患者経験価値)の推進役となる人材を育てることを目的に企画。今年度の3期生を含めて、トータルで100人に受講いただいています。過去3回の講座ではPXとPS(Patient Satisfaction;患者満足度)との違いや、PXの指標を測るサーベイおよび結果を受けた改善活動について取り上げました。

 

ペイシェント・ジャーニーマップは、患者の行動や状態を詳細に把握するためのツールです。患者視点で医療やサービスを眺めることで、普段気づかない改善点を見つけることができるフレームワークの1つであり、エクスペリエンスやPSの向上、顧客ロイヤルティの創出につながるとされています。

講師を務めた日本PX研究会代表理事の曽我香織さんは、「PXを改善するため、大きく分けて2つのアプローチがあります」と指摘。1つはPXサーベイや聴き取りによって患者から教えてもらうこと、もう1つは患者の視点に立つことだと話し、そのエクササイズの1つにペイシェント・ジャーニーマップがあると説明しました。

続いて、オンライン上でグループに分かれてペイシェント・ジャーニーマップを作成しました。あらかじめ設定した対象となる患者像(ペルソナ)をもとに、入院から退院(転院)までの患者や家族の行動を分類。その過程での感情の変化を洗い出したうえで、課題・改善ポイントを検討していきます。完成したジャーニーマップから改善に向けたアクションプランを考えました。

 

グループの1つが実際に作成したジャーニーマップです。患者の行動、接点があった人やモノ、ポジティブ・ネガティブな感情の変化、改善点を挙げていきます。改善点がたくさん書き込まれていていいですね!

 

ジャーニーマップの改善点をもとに、対応策としてやるべきことを4象限マトリクスに落とし込みました。グループによってさまざまなアレンジがされていて素晴らしかったです!!

 

次回、最後となる第5回PXE養成講座は11月13日(土)に開催します。患者視点のコミュニケーション手法について学びます。

Link:https://www.pxj.or.jp/pxe/

 

 

2. “ジェネレーションC”のPX


海外では最近“Gen C”(Generation Covid;コロナ世代)という言葉が使われています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの間に成長し、成人となる世代の考え方やエクスペリエンスがそれ以前の世代とどう異なるかを表す言葉と捉えるのが一般的ですが、米カリフォルニア州にあるヘルスケアソリューション企業であるExperianHealthのJason Considineさんは、世代に限らず広い意味で、私たちすべてがGen Cだと考えています。

それはバーチャルでの訪問、オンライン予約、デジタル上での記録の共有など、COVID-19がもたらした便利さが、多くの人に変化をもたらしたからです。そして医療機関は、デジタル化による便利さが新しい金銭的な価値であることをこれまで以上に理解しています。

このような前提のもと、Gen Cにおける患者動向と、患者に対する医療機関の対応について考察した記事を紹介します。

 

2020年秋にExperianHealthが実施した、患者および医療機関向けのサーベイでは、より多くの患者が患者ポータルやオンラインによる事前登録などのタスクをこなし、モバイルデバイスによる支払い、遠隔医療による医師との対話を行っていました。

今年の夏の追跡調査では、医療機関の93%がPXの改善を最優先事項に挙げています。そして医療者10人のうち8人以上が患者がオンライン登録を選ぶと回答していて、その割合は昨年よりも20%増加。実際に、オンラインやモバイルでの予約を行える医療機関が増えています。健康アプリの使用は、33~45歳ではほかの年齢の患者より80%も多くなる可能性があります。

また、調査した患者の少なくても18%が、迅速に開業医の診察を受けることを最大の課題として挙げています。医師が対応するのに物理的な制限はあるものの、最新技術を使うことで患者のアセスメントを早める修正はできることがわかりました。そして調査結果は、開業医はそのためのさらなる準備ができていることを示しています。

医療機関はGen Cからのこういった期待に応えながら、改善および他の医療機関との差別化を図る状況に直面しています。このような見通しが注目する4つの領域の1つにPXが挙げられています。PXの改善には、登録プロセスを簡素化、標準化するためのいくつかのデジタル上のイニシアチブが含まれています。具体的にはヘルスケア・ジャーニーにおけるデータ収集と使用方法の変更と、診断レポートと請求をよりわかりやすくするためのイノベーションの適用です。

全文は下記リンクからご一読ください。

 

Link:https://medcitynews.com/2021/10/who-is-generation-c-and-how-will-healthcare-adapt-to-meet-their-expectations/

 

 

 

3. 今後の予定


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会では「第4回PXフォーラム 変革から成熟へーWithコロナ時代のPXがもたらすものー」を12月4日に開催します。COVID-19の影響により、今年はオンラインのみでの開催です。PX研究会会員(法人・個人)は無料。会員外の方は第1・2部で3000円となります。第1部、第2部のみ(各1500円)参加も可能です。フォーラムの詳細と申し込みは下記リンクからお願いします。

https://www.pxj.or.jp/pxforum2021/

 

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PX研究会では2021年は勉強会を「PX寺子屋」と銘打ち、全国展開していく予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、すべてオンラインでの開催といたします。「第7回PX寺子屋」は11月13日(土)12:30 ~、開催です。申し込みは下記リンクからお願いします!

 

「PX概論」       原町赤十字病院  引田紅花

「摂食嚥下の学会報告」 幌西歯科(札幌市)院長 濱田浩美

https://www.pxj.or.jp/events/

 

 

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※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

編集部から


スポーツの秋でもあります。先日アメフトの試合を観に行きました。コロナ禍で秋季は2シーズンぶりのフル開催。普通に試合が行われ、観戦できることに感動です。(F)