日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会メールマガジン/Vol.175

1.開催まで1カ月!PXフォーラム
2.デバイスと患者エンゲージメント
3. 今後の予定

1.開催まで1カ月!PXフォーラム


日本ペイシェント・エクスペリエンス研究会の年1回の一大イベント、「第4回PXフォーラム」が12月4日(土)に開催されます。フォーラムの概要が決まりましたので、改めてご紹介します。

 

PXフォーラムはより多くの方にPX(Patient eXperience;患者経験価値)を知っていただき、議論を深める場として毎年12月に開催してきました。4回目となる今年のテーマは、「変革から成熟へーWithコロナ時代のPXがもたらすものー」としました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックのなかで、患者と医療者、入院患者と家族が直接的なコミュニケーションを図ることが難しくなっています。COVID-19の収束の見通しが立たない状況では、Withコロナを前提とした医療提供と患者中心の医療を考えていく必要があります。

 

今回はオンライン開催で、2部構成(14:00-15:50、15:50-17:00)になります。

第1部はPXの紹介とシンポジウム①、パネルディスカッションです。シンポジウム①「Withコロナ時代のPX」では、コロナ禍で医療や患者を取り巻く環境の変化により、PXの指標となる従来の調査票(サーベイ)では十分ではないのか?という視点から、さまざまな医療現場で働く3人の医師が今後のPXについて語ります。

 

メインとなる、パネルディスカッション「患者・住民に寄り添う墨田区モデル」は、墨田区保健所所長の西塚至さんにプレゼンテーションしていただきます。

東京都墨田区は医療提供体制やワクチン接種など、COVID-19対応で先進的な取り組みを行っていることで注目を集めています。東京は第5波で約400人が亡くなりましたが、墨田区は重症者、死者ともにゼロでした。地域の各医療機関が役割を担い、自宅療養者を含めたコロナ患者への全面的なサポートを行ったことが奏功しています。保健所としての対応、医師会や住民との関係をどう築いてきたのかなど、第6波への対策を含めてお話しします。

パネルディスカッションはその内容を踏まえて、PX研究会のメンバーがコロナ病棟や在宅で患者を診てきた医療者、住民・患者の立場から議論していきます。

 

第2部は、PX研究会が取り組んできたPXE(Patient eXperience Expert)の成果と、日本版PXサーベイに関連する内容です。シンポジウム②はPXのスペシャリストとして現場で活躍いただいているPXEの2期生5人が登壇します。

トリを飾るのは、国立病院機構九州医療センターの小児外科医長である西本祐子さんによる「PXサーベイ実施病院からの報告」です。

同院は2015年からPXサーベイを実施し、結果を受けて組織横断的にPDCAサイクルを回すことで医療サービスの質向上につなげています。第二種感染症指定医療機関としてCOVID-19患者の受け入れを行ってきた同院の対応を、PXの視点から検討します。

 

医療を、PXを語るうえでCOVID-19は避けて通れなくなっています。Withコロナの時代の医療を考えるのにふさわしい内容となっております。参加費は会員・法人会員は無料、第1部と第2部は各1500円です。フォーラムの詳細および参加申し込みは下記リンクからお願いします。

 

Link:https://www.pxj.or.jp/pxforum2021/

 

2. デバイスと患者エンゲージメント


日本の医療機関ではICTからDX(Digital Transformation;デジタル・トランスフォーメーション)と、データやデジタル技術の活用は旬のテーマです。日本より先行する米国では、ウェアラブル端末によって患者エンゲージメントはどう変わったのでしょうか。米メディアプラットフォームのBecker’s Healthcareの記事を紹介します。

 

10年前にウェアラブルデバイスに健康機能が搭載され始めた当初、医師はその精度に疑問を持っていましたが、現在はデバイスを採用し、その情報を活用することで患者のエンゲージメントを高めています。患者のエンゲージメントと見守りの方法がどう変わったのかを、マルチメディアのThe Vergeが数人の医師から聞いた内容は次の通りです。

 

Cleveland Clinicの電気生理学者であるMohamed Elshazlyさんは4年ほど前に、Apple Watchを利用している最初の患者が受診したと指摘。患者は1年間、時々動悸を起こした後に、Mohamedさんのもとに来ましたが、ほかの医師は診断を下すことができなかったといいます。Apple Watchは心臓の鼓動の異常値を検出すると、心電図の読み取りを行うようにユーザーを促します。Mohamedさんは患者からの電話でアプリを起動し、測定値を診て、患者を心房細動だと診断しました。

カリフォルニア大学アーバイン校の心臓専門医・臨床教授のAllen Byronさんは、Apple Watchが役立つ可能性を語った一方、Apple Watchからの通知を心配して受診する患者の3分の1に誤検知の読み取りがあったとしました。AllenさんはApple WatchやFitbitなどのデバイスにより、医師が自宅で患者を監視しやすくなり、患者が自身のケアにもっと時間をとることができると述べています。

ノースダコタ州睡眠センターのメディカルディレクターであるSeema Khoslaさんは、Apple WatchやFitbitが患者エンゲージメントツールとして機能すると話します。Seemaさんは患者に対し、なぜ睡眠を追跡するのか、デバイスから与えられる情報についてどう思うかなどをたずねました。多くの場合、患者が睡眠パターンをキャプチャするために入力する睡眠のログよりも客観的な情報を提供していると考えています。「デバイスの精度はさまざまであり、患者に不必要な不安を引き起こす可能性がある」とも言及しています。

 

Link:https://www.beckershospitalreview.com/digital-transformation/how-wearables-changed-patient-engagement-for-3-physicians.html

 

 

3. 今後の予定


PX研究会では2021年は勉強会を「PX寺子屋」と銘打ち、全国展開していく予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、すべてオンラインでの開催といたします。「第7回PX寺子屋」は11月13日(土)12:30 ~、開催です。申し込みは下記リンクからお願いします!

 

「PX概論」       原町赤十字病院  引田紅花

「摂食嚥下の学会報告」 幌西歯科(札幌市)院長 濱田浩美

https://www.pxj.or.jp/events/

 

 

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※【お知らせ】日本PX研究会について※

年会費は5000円となります。また、法人会員も受け付けております。詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

編集部から


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